居抜き

家具レイアウトで機能的なオフィスにする方法

機能的で働きやすい環境を社員に提供したい。会社を経営する立場の人間なら誰でもそう思いますよね。しかし、「働きやすい環境とは何か?」「大規模の改装工事は費用的に厳しい」などの疑問や懸念が浮上します。

この記事では、そんな疑問や懸念を解消するべく、家具のレイアウト(配置)で機能的なオフィスを作る方法をご紹介します。

家具のレイアウトだけでオフィスの雰囲気は大きく変わります。また、あまり費用をかけられない企業でもポイントを押さえて機能的なオフィスに変身させる事もできます。

では、家具レイアウトする上で押さえるべき、3つのポイントをご紹介します。

ゾーニングでオフィスをエリア分け

まずどこに、どのような家具を置くかを考えていきます。そこで使うのが「ゾーニング」という作業です。ゾーニングとは、用途別に区分けする事です。

オフィスの場合、主に5つの用途でゾーニングされます。特殊な業種は以下にご紹介するエリアに自分の会社に適したゾーニングを加えてカスタマイズしてください。

①ワークエリア

ワークエリアとは、社員が働くエリアの事です。一人につき、一つのデスクを対面式や横並びにレイアウトする事が多いです。社員同士の円滑なコミュニケーションを図るため、部門ごとにゾーニングするとさらに効率的に働くことができます。

②来客エリア

来客エリアとは、来客された方が使用するエリアです。会社のエントランスや待合室、会議室などが主な場所になります。

来客された方にワークエリアやオフィス内を見られたくない場合は、なるべく来客エリアを入り口に近い場所にセッティングすると良いでしょう。

③社員エリア

社員エリアは、複合機や書庫、給湯室といった社員しか使用しないエリアです。

外部の人間にはあまり見せたくないエリアでもあるので、入り口から離れていて、さらにワークエリアからのアクセスが良い場所にセッティングすると良いでしょう。

④上長エリア

上長エリアとは、高い役職に当たる人が働くエリアです。上長エリアを設ける会社は減少傾向にありますが、職種によっては必要なエリアとなります。

上長エリアは主に、二つのタイプに分けられます。一つは社員の見通しの良い場所に配置し社員とのコミュニケーションを重視するタイプ。二つ目は壁などで仕切りをつけ集中力を重視するタイプで分けられます。タイプによってオフィスでの位置を決めると良いでしょう。

⑤憩いエリア

憩いエリアは、社員同士が交流するためのエリアです。必要でない場所と考える方もいますが、交流の場こそが人間同士の信頼関係を生む場所です。働きやすい環境を整えるために、重要なエリアと考える企業が増えており、社員満足度が常に上位のGoogle合同会社も社員の交流を重視しオフィス内にいくつものミニキッチンを設けています。

現在は固定席を設けず、毎日好きな席(フリーアドレス)で業務を行う「シェアオフィス型」の会社が増えています。シェアオフィス型を導入したい場合も、ゾーニングを行う事でゴチャゴチャとしたレイアウトになる事を防ぎ、おしゃれなオフィスに仕上げる事ができます。

ゾーニングしたエリアごとに必要な家具をチェック

では、上記でゾーニングしたエリアにはどのような家具が必要かを確認しましょう。ご紹介する家具は、どれもオフィス家具メーカーで販売している商品ばかりですので、通販でも簡単に購入する事が可能です。

①ワークエリア

固定席で仕事をする場合、社員一人につきデスク一台が必要になります。

デスクの間にサイドテーブルを設けて社員同士の共有スペースを作ると2〜3人で集まってミニ会議なども行えるので円滑なコミュニケーションを図るのにおすすめです。

①ワークエリア

②来客エリア

エントランス

扉から入ってすぐワークエリアが直接見えないようにパーティションなどで区切り、受付システムや電話を置いている会社が多いです。パーティションに会社のサインやロゴ、他にも植栽やフロアランプを置くとでおしゃれ感がアップします。

待合室

椅子やソファーが必要になります。壁に沿って椅子が並べてあるだけでは寂しいので、サイドテーブルに花や小物を設置すると雰囲気のある空間が作り出せます。自社の商品やサービスを紹介するものを置くとお客様に見ていただけるチャンスにつながります。

②来客エリア 待合室

会議室

ミーティングテーブルとミーティングチェア。必要に応じ、ホワイトボードやモニターを用意しましょう。

テーブルは4人〜12人が使用できるサイズを設置するケースが多いです。一人当たり60~80cmの幅を目安にテーブルのサイズを考えます。例えば長方形テーブルに6人座ると片側3人なので、1.8~2.4m幅のテーブルとなります。奥行きは0.9~1.5m程度のものが種類も充実しています。個室の中に設置するときは部屋のサイズとの兼ね合いを必ず考えてください。

最近では、来客エリアにカフェスペースを作り社内外の打ち合わせをそこで行う会社も増えています。

③社員エリア

収納エリア

書庫や収納棚が主な設置家具です。鍵付きの書庫やキャビネットも多く販売されているので、重要書類を保管する必要がある場合は鍵の有無を確認しましょう。

背の高い書庫は壁沿いに設置して地震対策をしておくのも大切なことです。社員用のクローゼットもこちらに設置すると背の高い収納が纏まります。フリーアドレスの会社は個人ロッカーもこの辺りにおいてもいいと思います。これらのものは社員通用口近くにあるとアクセスしやすく便利です。

複合機エリア

複合機、シュレッダーなどをおくエリアです。一緒に用紙やトナーを保管する棚を置くと便利です。また、コピーした書類をまとめる作業テーブルがあるといいでしょう。

給湯室

オフィスビルの給湯室とは来客時お茶を出したり、お昼ご飯を温めるための家電などが置いてある程度の小さなスペースな場合が多いです。オフィスビルの仕様によって、ビル共有の給湯室がある場合とない(または自社の物を置いてはいけない)場合があります。

給湯室に自由に物が置けるビルだった場合、大きな家具や冷蔵庫を置くと狭くなってしまうので、小スペースでも場所を取らない壁面棚がおすすめです。収納も増えますし、出張のお土産や取引先からいただいたお菓子などを置く場所としても便利です。

③社員エリア 給湯室 壁面棚

ビル共有の給湯室が使えない場合は社内に以下のものを置くことを検討してください。

  • 冷蔵庫
  • 電子レンジ
  • ゴミ箱
  • ウォーターサーバー
  • 自動販売機

④上長エリア

社長や役員の席のことです。社長室として個室が必要か、個室は必要ないが他の社員と違う高級感のあるデスクが必要か、もしくはデスクは同じでいいが全員を見渡せる位置に席を配置する必要があるか、そもそもフリーアドレスだから社長も好きな席に座るのか、などを考えます。

上長エリアの儲け方は会社の雰囲気を表します。個室を設ける会社は硬い会社に見えますし、社長もフリーアドレスならアットホームな雰囲気が出ます。

⑤憩いエリア

オフィスの憩いのエリアで今、流行っているのは、カフェ系やホテル系の空間です。浅く腰掛けるハイスツールとカウンターの組み合わせや、大きめのソファーでホテルラウンジっぽさを演出するなど家具の種類は豊富です。

来客エリアにカフェを作る会社もあると書きましたが、社員の憩いのエリアを兼ねる場合も多く見られます。その場合は冷蔵庫や電子レンジはこちらのエリアに置くといいでしょう。

例1

⑤憩いエリア1

例2

⑤憩いエリア2

例3

⑤憩いエリア3

通路寸法をチェック

通路寸法は家具のサイズを選ぶ上で重要なポイントです。エリアごとに必要な家具を決めたら、目安となるサイズを把握しましょう。デザインだけで家具を発注してしまい、実際オフィスに届いたら大きすぎた!などのミスを防ぐことができるでしょうす。

①壁を背にしたデスクの間=0.9~1.5m

壁を背にした席の場合、座る人の後ろを他の社員が通らないのであれば壁まで0.9mほどでたります。デスクに着席した状態の奥行きは約50cmです。その場合、椅子の背から壁までの寸法は0.4m確保できているので椅子をひいて立ち上がることができます。

他の社員が後ろを通るのであれば1.2~1.5mほど空けておくと、ぶつかることなく通ることができます。

②デスク同士が背を向けあった通路=1.5=2m

着席時の奥行きが約50cmなのでこの場合、両方が着席すると約50cmの通路幅を確保する事ができます。標準的な人間の横幅寸法は45cmなので一人が通る分には問題ありません。人通りが多い場合はプラス50cm確保するとスムーズにすれ違いも可能になります。

③デスクサイドとデスクサイドの間=60cm~1.5m

上記でも記した通り、標準的な人間の横幅寸法の45cmを基準に通路幅を考えます。デスクとデスクの間は基本は90cm、人があまり通らない場所でも60cm、台車が通る場所は1.2m、人通りの多い通路なら1.5mくらい確保すると動きやすいでしょう。

④デスクと書庫の間=1.2m~1.5m

デスクに座る人の後ろに書庫を置く場合は1.2~1.5m確保できていれば、互いにぶつかる心配はありません。場所に余裕がない場合は最低でも1mは確保するようにしてください。

おまけ:標準的なデスクの規格サイズ

大手オフィス家具メーカーで販売されているデスクの規格サイズを見てみましょう。

  • 幅:1m・1.2m・1.4m・1.6m・1.8m
  • 奥行き:60cm・70cm・80cm

多くの会社でパソコン業務が主流なので、パソコン業務を考慮したサイズが規格として市場に出回っています。例えば開発のように大型モニターを複数置く場合は幅1.6m程度必要ですし、外回りの営業のように一時的にしか社内にいない場合は幅1m程度でも十分なサイズとなります。業務内容に適したサイズを選びましょう。

以上、基準となる通路寸法をご紹介しましたが「うちの会社にはそんなスペースがない」と思われた方もいるのではないでしょうか?ご安心ください。はっきり言って、オフィスのスペースに余裕がある会社は少ないです。

しかし、限られたスペースで機能性を持たせる方法はあります。上記の寸法を参考に実際の床にマスキングテープなどで印をつけ、社員と一緒にシミュレーションを行って自社にとって使いやすい寸法を見つけてください。

まとめ

マクドナルドの創業者マクドナルド兄弟は、効率的で使いやすいキッチンレイアウトを社員と開発した事により、どこよりも早く消費者に商品を提供する事で大成功をおさめました。成功の鍵を握るのは家具のレイアウトと言っても過言ではありませんね。

オフィス家具のレイアウトを変えたいとお考えの方は、この記事を参考にぜひ挑戦してみてください。