ベランダから入るオフィス【取材vol.3㈱クスノキ様】

今回取材させていただいたのは東京都台東区の浅草橋にある、株式会社クスノキ様です。2020年10月末に荒川区町屋にあるシェアオフィスから移転されました。

株式会社クスノキ様は留学生が日本に来るときの行政手続きをWEBで自動化するサービス「Speed Visa」を運営しています。「アルバイトをしたいがどうしよう」「どうやって家を探せばいいのだろう」など、外国人が安心して日本で留学生活を送れるように入口の面もサポートしています。また自社サービスの他にもシステム開発・WEBサイト制作・アプリ開発の受託開発事業の2軸で会社経営をされています。今回は人数が増えてきたこともあり移転を決意されたとのこと。

代表取締役の浅井さんが、初めてのオフィス移転についてこだわりやシェアオフィスではなく自分たちのオフィスを持って良かったことなどをお話してくださいました。

運命の出会い！ベランダに一目惚れ

ーーー以前のオフィスについて教えて下さい

以前は町家（荒川区にある京成電鉄・東急メトロ町屋駅付近）というとてもアクセスの悪い場所にシェアオフィスを借りていました。シェアオフィスは1室3名位しか入れなかった為、人数が増えてくるとどうしても部屋が分かれてしまい、別室だと帰りくらいしか顔を合わせないことも多々あり、会社やチームとしてのコミュニティが作りにくいことが問題点でした。そんな時に、共同創業者のエンジニアから移転の話が持ち上がりました。

まずは予算を決めて、特別立地にはこだわりはなかったのですがスタートアップが少なそうな台東区・墨田区・江東区周辺で探し始めました。

ーーー移転先はすぐ決まりましたか？

2週間くらいですぐに見つかりました。この物件は内見に来た時にベランダが面白そう！と一目惚れして、他の物件は見ずにすぐにここに決まりました。

このオフィスは5階建てのビル最上階の5階にあります。しかし、何故かエレベーターは4階までしかついていません。4階でエレベーターを降りたら、階段を上がって扉を開けるとそこにはいきなりベランダが広がります。そして、なんとオフィスにはベランダから入るのです。そこも気に入っている一つです。

現在、従業員は7名。10名くらいまで増やす想定ですので、広さもちょうどよく、最寄り駅の浅草橋駅からも徒歩1〜2分と駅チカでとてもいい物件に出会えました。

ベランダBBQは大切なコミュニケーションの場

ーーーオフィスへのこだわりを教えて下さい

もともとコミュニケーションが取れる場所としてオフィスの3分の1は休憩スペースにしたいと思っていました。社員同士のコミュニケーションって井戸端会議やご飯を作っているとき、一緒に食事しているときのように、自分の席に座って仕事をしているときよりも体を動かしながらのほうがスムーズですよね。

その視点からオフィスにはキッチンが欲しいと思っていましたが、予算の関係で給湯室に。自分たちにはそれでも十分でした。

ベランダと給湯室のおかげで、時期によっては寒かったり暑かったりもしますが、昨年11月には3日に1度位の頻度でベランダBBQを開催しました。このベランダBBQは社外の人にも声をかけやすく、意外と移転して「遊びに来てください！」と言っても目的がないとなかなか来づらいですよね。そんな時に「ちょっと肉焼くので〜」と言うと気軽に来てもらいやすくなります。実際に参加してもらった際にその場で商談につながったこともあり大活躍のベランダと給湯室です。

ーーーシェアオフィスから自社オフィスになってよかったことはありますか？

シェアオフィスには色々な人が出入りするので真に迫った会話が自由に出来ない、他の人を気にしないといけないという問題点があり、どうしても間借り感がありました。会社規模や事業フェーズによっても安くてサポートがあるのがありがたいシェアオフィス時期と、会社としてオフィスをもった方がいい時期ってありますよね。今回の移転で、人数が増え部屋が分断されたことで起こるコミュニケーションの問題を解決することが出来ました。

木の名前が入る会社名にちなんで….

ーーー内装のこだわりについて教えて下さい

会社名が「クスノキ」なので木に関わるインテリアにこだわっています。給湯室とワークスペースを区切るちょうどオフィスの中心部にある黒板には、知り合いのデザインナーに会社のシンボルのクスノキ（水墨画）を書いてもらおうかと思っています。

また入居前はよくある事務所の天井のような蛍光灯で外したかったのですが、内装を施工してくれた木下商会さんが、退去時のことも考えて極力原状回復しやすい今のレールを引いた天井にしてくれました。床もパネルを引いているだけなので、これも退去時に現状回復しやすいですね。

光がたくさん入る明るいオフィスで時間によっては直射日光が眩しいのですが、ブラインドは設置していません。洗濯物がよく乾きます（笑）社員が活発に活動できるように動線を考えて家具を配置しています。

自分たちの歴史を次に企業へ

ーーーコロナ禍の働き方について教えてください

私たちはスタートアップで少数精鋭なのでこのコロナ禍でもコミュニケーションがとりやすいよう出社しているメンバーが多いです。完全リモートスタッフも1名いますが、まあまだリモートのやり方は模索中です。

ーーー今後の移転の予定はありますか？

従業員が10人を超えたタイミングで検討したいと思っています。そのタイミングで次の入居企業が見つかれば居抜き退去もいいですね。退去時の費用削減だけでなく、ここで働いてきた自分たちの歴史が次の入居企業に引き継げるのは嬉しいです。

ーーー次に居抜き入居する会社はどんな会社がいい？

できれば異業種に入ってもらえると嬉しいですね。最近ではおしゃれで楽しいオフィスにするIT企業は多いと思いますが、普通に入ると「THE・事務所」になりがちな少しお堅い企業（例えば農業やメーカー等）にこの雰囲気のまま引き継いで楽しい職場にしていただきたいです。