居抜き

ぶっちゃけ古民家や倉庫の居抜きは辛い!断熱材の落とし穴

近年、古民家や倉庫をリノベーションする事例として、オフィスの活用は増えています。通常のオフィスと比べて、独特の雰囲気でカッコいい空間をつくり、自由度の高いレイアウトが実現できるのが魅力です。一方、これらを活用する場合、断熱性の向上は重要なポイントとなります。

今回は、古民家や倉庫の居抜き物件に入居を考えている企業の担当者の方に向けて、それぞれメリットやデメリット、断熱材の対応などについてご紹介していきます。

古民家や倉庫の居抜きオフィスはオシャレでカッコいい!

古民家や倉庫の居抜きオフィスはオシャレでカッコいい!

古民家や倉庫の居抜きオフィスは、通常のオフィスとは違う独特な雰囲気でカッコいい空間を演出してくれるのが魅力の一つです。最近では、サステナビリティの観点から古民家や倉庫を活用して企業のPRとして採用するケースが増えており、ますます注目されることでしょう。

それでは、古民家と倉庫それぞれの居抜き物件の具体的なメリットと事例を紹介します。

古民家の居抜きの場合

古民家の居抜き物件の場合、主に地方などで使われなくなった住宅を活用して、リノベーションします。最近ではコロナ禍によるワーケーションの需要も増えていることから、古民家を再生して地方にサテライトオフィスを開設する企業も増えています。

古民家をオフィスへリノベーションする2つのメリット

  1. リノベーションオフィスとして古民家再生の事例になる!
  2. 古民家独特の雰囲気が良い!

それぞれ詳しくみていきましょう。

①リノベーションオフィスとして古民家再生の事例になる!

古民家をリノベーションしてオフィスにすることで、これまでにない新しい価値観やアイディアが生まれる可能性が広がります。

例えば、地方の商店街の中にある古民家を活用して拠点を構えることで、地域の住民の人たちと交流が生まれ、共同でイベントを行った事例もあります。

②古民家独特の雰囲気が良い!
②古民家独特の雰囲気が良い!

古民家は、天井の梁があらわになっている物件が多く、古き良き古民家ならではの独特の雰囲気を演出してくれます。柱や梁で支える在来工法(木造)の古民家の場合、ツーバイフォーのように壁で支える構造に比べて間取りが変更しやすいことも魅力の一つです。古民家にありがちな外のトイレを家の中に設置する、オフィス利用なのでお風呂をなくす、などのリフォームを加えることができます。

近年では、サテライトオフィスとして古民家をリフォームする企業も多く、地方で静かな物件だと、閑静な自然溢れる環境の中で集中して仕事をすることもできるでしょう。実際に古民家をオフィスにリノベーションした事例を見てみましょう。

古民家を再生したサテライトオフィス
神山ラボ

サテライトオフィスとして有名な地域が、徳島県神山町です。神山ラボは、既存の古民家を改修しており、オフィス以外にも宿泊・研修棟を設け、働く人にとって快適に過ごせるように工夫がされています。

https://shushi.tokyo/1019/

ワーケーションの体験をするなら
ebisu-tei

「都市」と「地方」の「働く」と「暮らす」をもっとオモシロくするをミッションとするヒトカラメディアは、徳島県海部郡美波町に戎邸(えびすてい)という宿泊可能なサテライトオフィスを運営しています。一般の人や会社単位でも予約できるので、ワーケーションや古民家リフォームの体験にオススメです。

https://ebisu-tei.com/

次に、倉庫のメリットや事例をみていきましょう。

倉庫の居抜き・リノベーションの場合

倉庫は、大きな荷物を保管する場所として作られているため、スペースも広く天井も高いことが魅力です。この空間をオフィスへリノベーションするとレイアウトの自由度が高くなるので、通常のオフィスでは実現できない間取りやデザインなどの可能性が広がります。

倉庫をオフィスに改修する3つのメリット

  1. 倉庫ならではの独特の雰囲気と開放感が抜群!
  2. レイアウトの自由度が高く、広いスペースを確保できる!
  3. 物件価格や工事費用が安い傾向がある!

それでは、それぞれ詳しくみていきましょう。

①倉庫ならではの独特の雰囲気と開放感が抜群!
①倉庫ならではの独特の雰囲気と開放感が抜群!

メリットの1つ目は、独特の雰囲気を活かしたオリジナリティー溢れるカッコいい空間が魅力のポイントです。むき出しの梁や鉄骨、照明などは、通常のオフィスでは体験できない特有の雰囲気を醸し出します。デザイン性は勿論、最近ではサステナビリティの観点から会社として「古い空間を活かす」ことで世間へのアピールポイントにも繋がるでしょう。

「個性的なオフィスにしたい」「デザイン性溢れる開放的な空間で働くモチベーションに繋げたい」などという企業の方におすすめです。

②レイアウトの自由度が高く、広いスペースを確保できる!

メリットの2つ目は、自由度の高いレイアウトを実現しやすいことです。倉庫は荷物を収納するための空間であるため、天井の高い開放的な空間が殆どです。通常のオフィスでは、もともとの間取りを考慮すると、レイアウトは限られます。しかし、倉庫は広いスペースを確保することができるため、レイアウトの幅が広がります。

「働きやすい環境を考えたい」「オシャレでクリエイティブな空間にすることで企業価値を高めたい」という企業の方におすすめです。

③物件価格や工事費用が安い傾向がある!

メリット3つ目は、物件価格や工事費用を抑えやすいことです。オフィスを借りるとき、アクセスの良い立地で広いスペースを借りる場合、賃料が高い可能性があります。また、内装にこだわりたい場合、元々の間仕切りや設備もあるので、工事費用も発生します。しかし、倉庫は安価で借りられるケースが多く、壁などもなくスケルトンの状態のため、工事費用を削減しやすいのです。

ただし、倉庫は必要なインフラ系の設備、防音・断熱などが整っていないことも多く、物件の賃料は安くても工事費がかかる場合もあります。賃貸を検討する際は、事前にどの程度の工事が必要なのか調べた上で慎重に選ぶことをおすすめします。

それでは、倉庫をオフィスにリノベーションした事例を紹介していきましょう。

巨大な倉庫を改造したオフィス

OpenA

東京都勝どきにある、巨大な倉庫をオフィスにリノベーションした、靴の製造・輸入販売メーカーの「THE NATURAL SHOE STORE」の東京支店の事例です。

このオフィスは倉庫を改装したので断熱性能が低く、隙間風が入ります。この広さの空間の空調を管理するとなると膨大な光熱費がかかるため、ガラスのキューブを置いて室内だけ空調を整えています。またデスクやミーティングテーブルが散在することで、働き方も工夫されています。

http://www.open-a.co.jp/portfolio.php?p=550

倉庫機能とオフィス機能を上手に活用したオフィス

倉庫リノベーション

千葉県市川市にある、倉庫をオフィスにリノベーションした、医療機器や防犯・防災用品、学校教材の製造販売を行う「三和製作所」の事例です。

このオフィスは、働き方にあわせて各階のゾーニングが異なり、視覚的に機能やアクセントを変えています。1~2階はトラックヤードを持つ物流センター、中2階が休憩スペース、3階が製品の組み立てを行う製造部、4階が製品を保管する物流部、5階が本社機能を持つオフィススペースです。特に5階は、白と木目調を基盤としたカフェのような印象をもちあわせています。倉庫機能からオフィス機能まで使いこなしている事例です。

http://sohko-renovation.com/archives/1299

冬が寒い!古民家や倉庫を居抜きオフィスにする場合のデメリット

ここまで、古民家や倉庫をオフィスにした場合のメリットと事例を紹介しました。古民家や倉庫に共通したデメリットとして、隙間風が入るので空調が効き辛いということがあげられ、対策として「断熱材」の対応が必要になってきます。断熱性は快適にオフィスで仕事をする上で欠かせない要素です。

古民家は、築年数の古い物件で昔ながらの木造建築のため、歪みや窓や建具などから隙間風が入りやすくなります。また、メンテナンス等の管理が行き届いていない物件では、例え断熱材が入っていても、経年劣化で水分を含んで壁から断熱材が落ちたり、ボロボロになっている場合もあります。そのため外気の影響を受けやすく、暖房をつけても部屋が暖まりにくいことが、しばしばあります。

一方の倉庫は、物を保管する場としての用途のため、壁に断熱材が入っていないことが多々あります。また、設備などが撤去されているスケルトン物件については、断熱材も撤去済みとされているケースが多く、窓がないこともよくあります。特に倉庫は天井も高いため、断熱構造でないと夏場は蒸し暑く、冬場は寒くなるため、断熱対策は欠かせません。

断熱対策として、「二重サッシ」も欠かせないポイントです。

二重窓

壁などに断熱材を入れても、壁よりも断熱性能が低い窓は、夏は熱が室内に侵入し、冬は熱が室外に逃げてしまいます。二重サッシは、既存の窓と新設された窓の2つの構造にすることで、窓と窓の間にできる空気層が断熱性能を発揮します。特に、アルミ製のサッシよりも熱伝導性の低い樹脂製にすると、より効果を発揮しやすくなります。

リノベーションの際に、断熱性能を高めることは無駄な光熱費も浮き、建物の劣化も防ぎます。古民家や倉庫を居抜きオフィスにする場合、断熱性能を高めることをおすすめします。

まとめ

古民家や倉庫を居抜きオフィスにしてリノベーションすることで、クリエイティブな働き方の実現ができて、スタッフのモチベーションアップにも繋がります。

古民家の場合、地方のサテライトオフィスとして開設することで企業価値もあがり、木造建物の独特の雰囲気を演出することができます。また倉庫は、開放感ある広々とした空間のため、レイアウトの自由度も高く、フレキシブルに対応できます。

しかし、これらをリノベーションする場合、共通して断熱性能を高めることは重要です。働きやすい環境を整えて、無駄な経費を削減するためにもあわせて検討していきましょう。