Column

スタートアップ企業はオフィス入居が難しい?業界人のぶっちゃけトーク!

会社を設立していざオフィスを探し始める際に、気に入った物件を見つけても審査が通るか不安…というスタートアップ企業の担当者必見!「スタートアップがオフィス入居するのはぶっちゃけどうなの?入居しやすいの?難しいの?」の疑問について、今回は不動産界隈の業界人の方々にお話を伺いました。

▼登場人物
Aさん:とあるオフィスデザイン会社の社長
Bさん:とある不動産仲介会社の社長

そもそもスタートアップ企業の定義とは?

ーーーまずスタートアップ企業をお二人はどう定義されますか?

Aさん:ここでは、新しい技術や新しい方法でこれまでになかった価値を作り出そうとしている企業をスタートアップと定義しています。企業規模の違いというよりは、価値観を追いかけているとか資金調達をしている(目指している)企業を指すことが多いです。

Bさん:エクイティファイナンスによる資金調達をし、イグジットをゴールとして、赤字を垂れ流してでもゴールに向かって突っ走っていく若い会社!と言うとわかりやすいかもしれないですね。

Aさん:赤字を垂れ流している古い会社は生き残れないしね(笑)

Bさん:ベンチャーとスタートアップは同じに見られることがありますが、不動産の業界においては別です。ちなみにベンチャーはスタートアップに比べて審査も通りやすいですよ。設立1〜2年くらいの会社が特に審査の通りやすさには差がでますね。

オーナーさんはそもそもスタートアップだからっていう理由で審査を落としているわけではないです。提出書類上で赤字垂れ流しだから落としているんです。

Aさん:資金調達をしているスタートアップは、急速に事業拡大するためにお金を使ってなんぼ、お金を使わずに黒字化できるんだったらはじめから資金調達する必要もないですからね。お金を使って成長スピードを上げないといけないので、そりゃ額面上では赤字になるわけですよ。

Bさん:一般の人たちでもスタートアップについて分からないのに、不動産オーナーさんは尚更分からないですよね。オーナーさんとしては今後家賃を払い続けてくれる人たちなのか?という点でしか資料を見ていないので、赤字運用の企業資料だと不安なわけですよ。

Aさん:スタートアップ企業が提出する資料は売上、PL、キャッシュフローが不安すぎますね。オーナーさんによってはそもそもスタートアップという考えを理解してもらえないことも多いです。生態がわからないし、サービスも分かりづらい。赤字だし若い会社だしでまず入れる理由が見つからない。

Bさん:更には属性が悪く見えがちで、夜遅くまで働かれたり、若い人達が多く、大きな音を出したり、何かとパーティーをしがちだし。少し考えの古いオーナーさんだとホリエ◯ンのイメージが根強く、自分のビルに入っている企業が悪いことでマスメディアに取り上げられるとビルの名前も残ってしまったりと、やっぱり入居させる理由というかメリットが少ないですよね。

Aさん:更には敷金を下げてくれと交渉してくるスタートアップ企業も多いです。キャッシュフローが命なので寝かしているお金を作りたくないんです。VCから突っ込まれますからね。

Bさん:あとスタートアップは急に移転したがるんですよ。うまくいって業績のばしても人数が増えてもっと大きいオフィスに移転って事もあれば、うまくいかなくて撤退となるとすぐに退去したりと、スタートアップ側も契約に縛られるのを嫌がります。

ーーー「うーん…、赤字の若い会社でオーナーにスタートアップへの知識・理解がない、属性が悪いってなると、そりゃあ審査通りづらい=入居しづらいってなりますね。

スタートアップ企業でも入りやすいオフィスは?

ーーーでは、スタートアップでも入りやすいオフィスってあるのでしょうか?

Aさん:少ないですがもちろんスタートアップに理解のあるオーナーさんもいますよ。ただ、どちらかと言うと個人や中小規模のオーナーさんよりは大手企業が運用する物件の方が理解があり審査も通りやすかったりします。ただ、ある程度大きい会社ですけどね。

Bさん:スタートアップ企業も何割かは大きくなる可能性もありますが、ビル2〜3棟しかもっていないオーナーさんにとって、その物件は息子娘のように大切な存在なので、極力リスクはとりたくないですよね。

一方で多少余裕のある大手だとチャレンジとしてベンチャーやスタートアップを入れる物件として、敷金礼金ゼロ、保証会社も不要、解約予告も3ヶ月前でOK、内装什器付きというプランを最近打ち出しているところもあります。

Aさん:ただ条件がゆるい物件は家賃が高かったりしますね。イニシャルで取れない分、ランニングで取るために。

他では、投資用物件は家賃は高いが敷金は安いので比較的スタートアップでも入りやすいと思います。

Bさんただその場合でも最近は保証会社も厳しくなってきています。実際に投資物件の運用で数年やってみると、設立5年未満の会社が家賃滞納率が高いという結果も出てきているようですので。

Aさん:セットアップオフィスも単価上げるためにセットアップしているが、滞納する会社も多いので審査を厳しくしているところをよく見ますね。

ーーーオーナー理解にも地域差があったりますか?

Bさん:地域差というよりは、オーナーさんの年齢によってはあるかもです。若いオーナーさんの方が話は聞いてもらいやすとか。ただ審査が通るかどうかは分からないので、不動産仲介側としては、とりあえずたくさん申込みをするというのが鉄則です。あとは確率論ですね。

Aさん:スタートアップは入居日を決めて物件を探すことが多く、無茶ぶりが多い印象です。いつまでに入らないと作業が進まないとか採用が進まない等。なのでますます探すのが難しくなりますね。

シェアオフィスは?

ーーーシェアオフィスはいかがでしょう?

Aさん:もちろんシェアオフィスはスタートアップも入りやすいです。不動産物件は入るのも大変だし、出るのも大変。例えば一般的には普通のオフィス退去は解約予告は6ヶ月前だし、1ヶ月前には出て原状回復をしなきゃいけない。でもシェアオフィスだとすぐ入れるし、すぐ出れる。

Bさん:企業規模もそこまで影響せず、例えば最近では大手企業も次のオフィス拡大までのつなぎ期間として一部署だけ数ヶ月シェアオフィスに入居するなんて例も出てきています。

Aさん:あとは本社登記の拠点として例えばweworkを契約して、従業員にはカードを発行し、どの場所のweworkを使用してもいいというスタイルを取っているスタートアップ企業もあります。

結局どうすれば?物件を探すときのアドバイス

ーーーなんとなく、不動産物件へのハードルの高さやシェアハウスの手軽さは分かったのですが、結局不動産物件へ入居したい場合はどうすればよいのでしょうか?スタートアップ企業の皆様にアドバイスをお願いします。

Aさん:結局はいい不動産仲介会社を見つけることが一番ですね。大手の仲介会社に依頼すると自社物件だけしか紹介してくれない、少ない選択肢の中で強引に進められる…などの問題もあったりしてたまに微妙だったりします。

Bさん:ベンチャー・スタートアップ向けの専属部隊がある仲介会社にお願いするのが一番いいと思います。これまで話してきたスタートアップについての話は、普通の不動産会社だと出来ないのでオーナーさんと同じ目線でしか提案できないんです。「赤字なんですけどいいですか?」って。いくらたくさん物件の情報を持っていても結局審査が通らないんですよ。

Aさん:何社か不動産仲介会社と話してみて、担当がピンときているかどうかを確認するのがいいかもしれないですね。スタートアップ側からすると不動産仲介会社の選び方は、物件を知っているかどうかで測るのではなくて審査を通せるかどうかで測るのがいい。

ーーーでも審査を通せる会社かどうかは、スタートアップ担当者にはわからないのでは?

Bさん:なので結局は知り合いからの紹介が多くなるんですよね。ツテがないのであれば、複数の仲介会社に話してみて決めるのが地道ですが一番の近道ですね。どのユーザーにも言えることですが、特にスタートアップに限って言えば重要なポイントです。本当にいい物件に入りたいのであれば。

まずは、近くにいるスタートアップの先輩方に相談して、その企業がお世話になっている仲介会社を紹介してもらう!居なければベンチャー・スタートアップ専門部隊のある仲介会社何社かに行ってみる!をオススメします。