オフィスづくり

オフィス電話回線の選び方

かつて、会社と個人事業主の大きな違いはビジネスフォンの有無でした。NTTでビジネスフォンの契約をすることはインフラと同義でしたが、ひかり電話といったテクノロジーの発達により状況は変化してきています。

オフィス電話回線の選択は費用面のみならず、業務効率の面にも大きく影響します。自社に最適なオフィス電話回線を選べるかにより、業績が左右されると言っても過言ではありません。

この記事では、オフィスに対応する回線の話を含め、オフィス電話回線の選び方について紹介します。

オフィスに対応する回線の話

オフィスに対応する回線

アナログ回線(通称メタル)

古くから使われてきたアナログ回線(通称メタル)は、音声を電気にして伝達しています。回線自体は安定しているものの、音質はデジタルに劣り、盗聴されやすいセキュリティ面でのデメリットがあります。また、複数の回線を処理できないため、電話とインターネットを同時に使うことはできません。

デジタル回線(通称ヒカリ)

デジタル回線(通称ヒカリ)は、音声信号をデータ化して伝達する仕組みです。音質はクリアで聞き取りやすく、セキュリティもアナログに比べ格段に強化されています。ひかり電話(IP電話)、ISDN回線がデジタル回線にあたります。

特にコールセンターの場合、アナログとデジタルどちらの回線にするかは判断が難しい点です。独力で最適なサービスを選択するのは困難なため、専門家にご相談されるのをおすすめします。

Fax回線

Faxは、音声信号を画像データに変換して送信する技術です。Fax回線はアナログ回線だけでなく、ひかり電話やISDN回線といったデジタル回線でも使用できます。しかし、ISDN回線は2024年に廃止となるため、長期的にはひかり電話を選ばれるのがおすすめです。また、近年では手書きではないインターネットFaxも登場しています。

ネット回線

デジタル回線の中でも、光ファイバーケーブルを用いて送受信を行っているのがひかり電話とIP電話です。光ファイバーケーブルはインターネット回線にも用いられているため、インターネット回線業者はひかり電話との同時加入プランも用意しています。Fax回線も加えれば、全てを一つの回線にまとめられます。

ビジネスフォン

ビジネスフォン

ホームユースの電話との違い比較

一般的な家庭で使用されているホームユースの電話とビジネスフォンの違いは、回線と電話機の対応関係です。家庭では回線に対して、電話機が1対1の関係にあります。子機が複数ある場合、ホームユースでは同時に別々の着信を受けることができません。

ビジネスフォンは、一つの電話番号で複数の着信を受けることができます。回線と電話機の関係は1対2からはじまり、1対数百へ拡張するのも可能です。ビジネスフォンのメリットは、電話を受ける窓口を一つにし、同時に複数の電話機で対応できる点にあります。

ビジネスフォンでは、外部との回線を「外線」、内部との回線を「内線」と呼びます。外線から入った着信は自由に内線に転送できるだけでなく、内線同士でも通話できるのです。

主装置+卓上電話、発番と着番

ビジネスフォンのシステムは、主装置と卓上電話から構成されています。主装置は外線と内線を集中管理するターミナル駅のような機器で、外線と内線の交換手の役割を果たしています。

こうしたビジネスフォンのシステムでは構造上、発番と着番が異なる問題が発生します。この場合、ダイヤルイン(または代表ダイヤルイン、代表番号)を用いて発番と着番を同じにすることが可能です。

ひかり電話(IP電話)

ひかり電話(IP電話)とは、NTTの提供するIP電話サービスです。過去には、電話回線とインターネット回線の2本を別々に契約するのが主流でした。その後、インターネットの普及により、同じ光ファイバーケーブルを用いて登場したのがひかり電話(IP電話)です。

ひかり電話のオフィスタイプは従来のビジネスフォンとは異なり、番号や通話の数を追加できます。システム面でも主装置からクラウドタイプに代えることで、スマートフォンを用いた外出先での通話を可能にしています。

クラウドフォン

クラウドフォン

クラウドフォンとは、クラウドPBX(Private Branch Exchange)とも呼ばれる、最先端のビジネスフォンシステムです。PBXとは、従来型ビジネスフォンで用いられてきた主装置(交換機)を指します。このPBXをインターネット上にクラウド化したのが、クラウドフォンです。

クラウドフォンは従来型ビジネスフォンのメリットに加え、インターネット上での通話・通信を可能にしました。時間、地理、そして設備的制約を受けないことで、いつどこにいても自由にコミュニケーションをとれます。

従来型ビジネスフォン導入コスト

  • ビジネスフォン用機器の購入
  • 電話回線工事
  • 電話回線業者との契約
  • メンテナンス費用

上に挙げたものは従来型ビジネスフォンの導入コストになりますが、クラウドフォンではこれら初期投資やメンテナンス費用が一切かかりません。

その代わり、クラウドフォン使用時の快適さは、インターネット回線の状態に左右されます。回線スピードが遅かったり、障害物などによって通信に悪影響が出ると、使用にストレスが生じる可能性もあるのです。

クラウドフォンは03をはじめとした市外局番に対応しており、固定電話番号としてオフィス移転の際も引き続き使用できます。反面、110番や119番には対応していません。

利用料金はランニングコストになりますが、内線は無料のため、クラウドPBXにアクセスできれば世界中の支社との連絡網を一つにまとめられます。これは、オフィスの拡大または移転の際にも大きなメリットになるでしょう。

結局何を選べばいい?オフィスの電話回線の選び方

最後に、オフィスの電話回線の選び方をケースに分けて紹介します。

03の市外局番だけが欲しい

03といった市外局番だけが欲しい場合、初期投資とメンテナンスコストを節約できるクラウドフォンがおすすめです。

架電をたくさんする

たくさん電話をする場合、03などの市外局番が必要なら従来型ビジネスフォンが最適です。03などの市外局番が不必要であれば、カケホーダイプランといった定額制通話無制限契約の携帯電話の導入の方が、大幅にコストを削減できます。

電話回線の使用頻度が少ない

そもそもオフィスで電話回線の使用頻度が少なく、03などの市外局番も不必要な場合は、電話回線を設置する必要がないでしょう。インターネットを中心にメールやチャットツールを連絡手段とすれば、コストカットになります。

オフィスの移転回数が多い

オフィスの移転回数が多い会社なら、クラウドフォンがおすすめです。クラウドフォンはインターネット上にPBX(交換機)を置くため、移転を気にしなくて良いからです。03などの市外局番も選択でき、かつ固定電話番号として移転しても保持し続けられます。

働き方によって最適な電話回線は変わる

リモートワークをはじめ、近年は働き方も多様化してきています。個人専用デスクを持たないフリーアドレスや、外出がメインのビジネススタイルでは、固定電話をオフィスに置くメリットが感じられないでしょう。この場合、クラウドフォンに加え、アプリフォンとスマートフォンの組み合わせが適しています。オフィスの働き方によって、最適な電話回線も変わるのです。

まとめ

オフィス電話回線の選び方について紹介しました。ビジネスフォンは、窓口となる代表番号を用い、複数の送受信を同時に行える電話システムです。ホームユースの電話にはない利便性は、ビジネス用途において業務効率化に大きく貢献します。

また電話回線は、旧来型のアナログ回線から、インターネット回線にも使用される光ファイバーケーブルを用いた、ひかり電話(IP電話)などのデジタル回線に移行してきています。従来型ビジネスフォンで使われてきた交換機(PBX)をクラウド化した最先端のクラウドフォンも登場し、インターネットを介してビジネスフォンと同様のシステムが実現されているのです。

クラウドフォンは03などの市外局番にも対応しており、ビジネスフォン導入時の初期投資やメンテナンス費用を節約できます。オフィスそれぞれの働き方によって、最適な電話回線をお選びください。