オフィスづくり

仕事のしやすいソファとは〜オフィスソファの歴史と2021年おすすめのソファ〜

近年のオフィスは、ITの進化と働き方の変化に伴い、快適に仕事ができるようにデザインが工夫されています。特に、現在はテレワークを導入している企業も多く、疲れにくい椅子やソファを選ぶことは仕事の効率化をあげるためにとても重要です。

この記事では、その時代のトレンドごとに導入されてきたオフィス家具の紹介と、仕事のしやすいおすすめのオフィスソファの選び方を紹介してきます。オフィスのリニューアルや移転の際にご参考ください。

オフィスにおけるソファの流行の歴史

日本のオフィスにおけるソファの流行は、明治時代から始まりました。それまでは畳の上に座る床座中心の生活様式で、椅子やソファに馴染みがありませんでした。しかし、第二次世界大戦後よりだんだんと日本にも浸透し、オフィスの応接間でもソファが置かれるようになりました。

2000年(平成12年)以前は、応接室やエントランスなどに、高級感のあるソファが多く置かれました。特に来客で利用することが多く、大切な商談などで使用する場合もあります。そのため、応接室の場合は、黒の革張りで重厚感のある、お尻が沈み込むような座り心地のソファと、ローテーブルが置かれてきました。細かい打ち合わせをするよりも、リラックスして話ができるように考えられています。

エントランスは、企業の顔としてお客様を迎える場であり、担当者と待ち合わせをする場として使われています。そのため、短時間で利用しても立ち上がりやすく、万が一その場で打ち合わせをしても疲れにくい椅子やソファであることが望ましいです。

多くは、黒の革張りで硬めのベンチソファが置かれています。さらに、耐久性と抗菌性のあるものを考慮すると、不特定多数の方が座っても安心して長く使うことができます。

社員食堂や喫煙スペースでは、柔らかい座り心地のソファが置かれています。ここでは、お昼休みなどの休憩時間でリラックスしながら快適に過ごしてもらうための空間づくりが必要です。また、これらの目的以外にも、ショートミーティングなどで利用すると、視点も変わり、新しいアイディアが生まれることも考えられます。ポイントとして、目に優しいアースカラー色を取り入れたり、木目調などの天然素材でできた家具やソファを置いたりすると効果的です。

食堂・カフェテリア

西暦2000年代に入ると、仕事内容に合わせてさまざまなタイプの家具が置かれました。例えば、仕事をするためのデスク、ミーティングするためのテーブル、休憩するためのソファなどです。これらの家具を使い分けて置くことで、新たに欧米を中心とした働き方の考え方が生まれました。それが「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」です。これは、従来のように固定席で仕事をするのではなく、自分にとって最適な場所で働くスタイルのことをいいます。

ここ数年、日本で流行っているこの考え方は、西暦2000年以前からあり、海外の家具メーカーがその考え方を体現する製品を生み出し始めたため、徐々に浸透してきました。

これらの製品には、ミーティングしやすいソファ、高さを変えられるデスク、キャスターでデスクワークとミーティングの両方に対応するデスクなど中間的な役割を持たせた家具があります。中には、ランニングマシンとデスクが一体化した”歩きながらデスクワークをする”という製品もありました。

しかし、当時はこれらを実現するために必要な以下のような条件が現在よりも整っておらず、そこまで流行ることはありませんでした。

  • 仕事中移動しやすいように軽量化されたノートパソコン、
  • 充電の持ちが良い機器であること
  • Wi-Fi(ワイファイ)環境の整備 など

2010年(平成22年)ごろからテクノロジーの進化の勢いが増し、ノートパソコンの軽量化、スマートフォンやオフィス内のWi-Fi設置が普及しました。これらにより、オフィス内でも“中間的なスペース”が設けられるようになり、今までの固定席から好きなスペースで仕事ができるスタイル(フリーアドレス)へと変わりました。

オフィス内でも仕事がしやすいようにリラックスできる空間をつくり、ゆったりと座れるソファを導入する企業や、エントランスに置くソファは黒の革張りではなく、カラフルなソファにすることで仕事の効率化をはかる企業も増えました。

このころ、ノマドワーカーという言葉も出現し、オフィス以外の場所で仕事をすることが一般的になり、各地でコワーキングスペースも設けられるようになりました。

オフィス以外の場所で仕事をする人・ノマドワーカー
オフィス以外の場所で仕事をする人・ノマドワーカー

2020年(令和2年)以降、コロナ禍の影響により、多くの企業でテレワークが導入されて、自宅で仕事をする人が増えました。自宅で快適に仕事ができるように会社と同等以上の環境づくりをする人や、好きなブランドの家具を使い、グリーンなど自分だけの癒される環境づくりをする人もいます。

また、オフィス内では、既存のデスクやテーブルに、飛沫拡散を防止するためにパネルを設け、ソーシャルディスタンスを保ったデスクの配置、また都内にある企業では本社の地方移転や、今後の働き方を見据えてサテライトオフィスを設け、地方に生産拠点をつくる企業も増えました。

パネルで囲むことで接触を防いでいるオフィス
パネルで囲むことで接触を防いでいるオフィス

2021年以降のオフィスにおすすめのソファ

これらの歴史的流れからみても、デスク以外の場所で仕事をすることや、仕事をする場所を自分で選んで決めるという流れは加速していくと予測されます。今後ますます、オフィスの自宅化、自宅のオフィス化という流れが増え、そういう意味での“中間的なスペース”も増えていくでしょう。

また、打ち合わせもソロワークも休憩もできるカフェスペースやファミレスブースは、働く場所を選べるスペースとして今後も利用する人が増えていくといえます。このことから、電源が組み込まれたデスクやソファもより増加すると思われます。

では、電源が組み込まれていないような家具は人気がないのかと言えば、そんなことはありません。例えば、ヨギボーに代表されるようなビーズクッションは、若者が多いスタートアップの会社に人気です。自由自在に座ることができて、まるで人をダメにするような極上の柔らかさと心地よさがポイントです。しかし、パソコンを開きながら仕事をするソファとはいえず、ある程度形のあるビーズソファの方がしっかりと座れるので、仕事もしやすいでしょう。

また、コロナ禍により、密を避けることを考慮して屋外で仕事をする人も増え、テラスに置けるソファを導入する企業も増えるでしょう。屋外用ソファは、リゾートホテルにあるようなワイヤーフレームに水を弾くファブリックを張ったソファを思い浮かべる人も多いと思いますが、価格はそれなりにします。安価で簡単に導入できるのはキャンプ用ソファがおすすめです。キャンプでもオフィス内でも使えるアウトドア用のソファは、組み立て式タイプが多く、持ち運びも簡単に行えます。会議を屋外でする、休憩するスペースとして憩いの場をつくるなど、目的に合わせて環境を変えることで、新しいアイディアが生まれ、働きやすい環境づくりに繋がります。

仕事のしやすいソファとは

これらのことから、今後も多様な働き方を選択できるようになり、どこにいてもソファでも仕事をすることは今後も増えていくでしょう。

それでは、仕事のしやすいソファとはどういったソファでしょうか?それは、ファミレスのソファに代表されるような普通のイスとテーブルに近い高さで座面が硬めのソファです。この場合だと、パソコンを使うときの正しい姿勢がつくりやすく、体への負担が少ないといえます。背もたれがあると、深く椅子に腰かけても腰を支えてくれるため、疲れにくい姿勢が保てます。

仕事のしやすいソファ
仕事のしやすいソファ

このようなソファのブースの働き方は、イトーキやオカムラなどのオフィス家具メーカーでも注目しており、製品化されています。リラックスしながらも集中して仕事ができ、ミーティングまでできるのは、ソファワークならではの働き方なのかもしれません。シンプルな構成で目的に合わせて配置することができて、モジュールの組み合わせにより、どんなパターンにも対応できる利便性の高い製品です。また、電源もソファの座下や座横からとることができるため、電気工事などの大幅な工事をすることなく、配置することができます。

【オカムラ】『Alt Living』(PDF)

一方、仕事がしにくいソファは、最初に冒頭でお伝えした応接室や自宅リビングに置くような、柔らかいソファです。これらのソファは、リラックスして後ろによりかかる姿勢をするための造りをしているので仕事をするには向きません。パソコンを低いローテーブルに置くか、膝に置いて作業をするため、猫背で縮こまった姿勢となり、最終的には肩や腰への負担が大きいとされています。

仕事がしにくいソファ
仕事がしにくいソファ

では、こういった柔らかいソファを既に持っていて、そこで仕事をしたい場合はどうしたらいいでしょうか。

1つ目は、テーブルの高さを見直しましょう。上下昇降のできるソファ用テーブルを追加すると、パソコンを置いても使いやすい姿勢をつくることができます。

2つ目は、クッションを背もたれとの間に入れることです。このタイプのソファは背もたれとの距離が遠く前傾姿勢では腰を支えられないため、クッションを入れて腰を支えるとパソコンとある程度の距離が保て、無理のない姿勢が取れます。

今あるソファを仕事をしやすいドファにするためには
今あるソファを仕事をしやすいドファにするためには

ソファ用上下昇降テーブルを選ぶときのポイントは、既に持っているソファに高さを合わせることができて、PCが置けるスペースと耐荷重が確保されていることです。また、使用するとき、ソファ側にテーブルを近づけられることで、パソコンとの距離が近くなり使いやすくなります。
これらに関連する、多くの製品が発売されておりますので、下記の製品リンクを参考にして探してみてください。

【アイリスオーヤマ】昇降サイドテーブル SST-95

まとめ

コロナ禍の影響により、多くの企業でテレワークが導入されて自宅で仕事をする時間が増えました。長時間仕事で椅子やソファに座り続けていると、気になるのが座り心地です。自宅で仕事をする場合、もともと家にある「ダイニングテーブル」や「ソファ」で仕事をする方も多いのではないでしょうか。

今後も働き方は多様化していき、オフィス内でも人それぞれの働きやすさが求められます。特に、オフィスの家具メーカーでも製品化されている「ソファワーク」は、自宅にいるようにリラックスしながら集中して仕事ができることや、ミーティングなどで新しいアイディアを生み出す空間としても注目されています。

今回紹介したポイントを参考に、オフィスでも自宅でもどこにいても、気持ちよく仕事ができる環境づくりをしてみてください。