心身ともにリフレッシュできるサウナ。基本的には温泉施設や銭湯、スパなどに行かなければ入れないサウナですが、最近、オフィスに設置したい! という声も聞かれるようになっています。
オフィスにサウナを設置するにはどんな準備が必要なの? どれくらいお金がかかるの? などの疑問をお持ちのサウナーの方に向けて!
オフィスにサウナを設置する前に押さえておきたい、確認事項、必要な設備、おすすめサウナブース、方法や手順についてご紹介します。
オフィスにもサウナブームが来ている理由
若者を中心に爆発的なブームが起こっているサウナ。
サウナそのものの効能のメリットはもちろん、サウナがテーマの漫画・ドラマのヒットを皮切りに、サウナ好きを公言する有名人の増加、SNSでのコミュニティの形成などが後押しし、サウナがニューカルチャーとなりました。
そんなサウナ体験をオフィスでもできるようにしたい! というサウナ好きのオフィスワーカーの方々から、オフィスにもサウナを導入したいという声が聞かれるようになっています。
サウナにはどんな効果があるの?
爆発的なブームが続いているサウナ。サウナ→水風呂→外気浴を数回繰り返すことにより、心身ともに快調に感じられる状態になることを「ととのう」と表現するサウナ用語もすっかり浸透し、一般的なものとなりました。
そんなサウナですが、そもそもサウナ自体にはどのような効果があるのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。
血行促進・発汗作用
サウナに入ると体温が上昇し血管が拡張、血行が促進されます。血流が良くなると酸素や栄養が全身に行き渡りやすくなります。
また、新陳代謝が活発になり、乳酸などの疲労成分が汗と共に排出されるデトックス効果・疲労回復効果も期待できます。
同時に汗腺の機能が高まり、皮脂や皮下組織が綺麗になる効果があるとも言われます。
リラックス・ストレス解消
高温のサウナに身を置くことで神経系が刺激され、幸福感やリラックス効果をもたらす「エンドルフィン」というホルモンが分泌されます。また、じっくりと汗をかくことで爽快感が得られ、ストレス解消効果が期待できます。
免疫力向上
サウナに入ると体温が上昇し、免疫系の活性化も促進されます。これによって風邪や感染症への抵抗力が向上する可能性があります。
こうしてみるといいことづくめのように感じられますが、その人の体調や健康状態によってはサウナに入ることが適さない場合もあります。
また、健康状態が良い場合でも、適度な時間制限と十分な水分補給・休息は必須です。
オフィスにサウナを設置することで得られる効果
上記のようにさまざまな効果が期待されるサウナですが、オフィスに導入することでどのようなメリットがあるのでしょうか?
リフレッシュ・エネルギー回復
サウナにはリラクゼーション・ストレス解消効果があります。オフィスの忙しい雰囲気や仕事のプレッシャーから離れ、リフレッシュすることで従業員のメンタルヘルスを向上させることができます。
また、サウナには快眠効果があるとも言われるので、日々のパフォーマンスの向上も期待できます。
マインドフルネス・気分転換
マインドフルネスとは過去や未来ではなく、「今この瞬間に集中する」状態のことです。マインドフルネスにはストレス軽減、集中力の向上、記憶や判断力の向上が期待できます。
サウナ室はスマートフォンやパソコンを持ち込むことができないので、外部からの刺激がなく、マインドフルネスに適した環境です。また、スマートフォンやパソコンから離れることでデジタルデトックスにもなります。
オフィスという場でありながら業務から離れることができるので、気分転換にもなります。
コミュニケーションの促進
サウナは従業員同士のコミュニケーション促進のきっかけになります。同僚と一緒にサウナに入ることでコミュニケーションやチームビルディングの機会となり、チームの連携や結束力が高まる可能性があります。
サウナの本場のフィンランドではオフィスにサウナが設置されていることも珍しくなく、サウナのリラックスした空気の中で商談をしてしまうこともあるんだとか。
オフィスの価値体験の向上
「オフィスにサウナがある」ことで従業員の出社のモチベーションが上がる場合があります。
コロナ禍を経てオフィスに人が集まりづらくなった企業も、オフィスに付加価値を付けることにより、従業員が出社したくなる状況を作ります。
このように、オフィスにサウナを設置することで従業員の健康促進、ウェルビーイング、パフォーマンスの向上、オフィスの価値体験の向上が期待できます。
▼その他、オフィスにサウナを設置するより詳細なメリット・デメリットについては下記記事でまとめています。
オフィスに設置できるサウナの種類
一般的には銭湯や温泉施設にあるサウナ。そもそもオフィスに設置することは可能なのでしょうか?
一口にサウナと言ってもいくつか種類があります。
中でもオフィスへの設置に向いているサウナはどのタイプなのでしょうか?
乾式サウナ
ドライサウナ
一般的に「サウナ」と言えばこのサウナ。銭湯でよく見られるのはこのタイプです。 サウナストーブやヒーターで空気を熱し、高温(室温70℃〜100℃)かつ低湿度(湿度10%程度)のジリジリとした熱さが特徴的。 熱による息苦しさを感じやすく、皮膚・髪の毛・目が乾燥しやすい反面、爽快感が強くリフレッシュ効果が大きいサウナです。 薪を燃やすタイプのサウナストーブは煙突が必要になり、大規模な工事が必要になるのでオフィスへの設置には向きません。オフィスには電気ヒータータイプが向いています。
遠赤外線サウナ
遠赤外線ヒーターを使ったサウナで、こちらもスーパー銭湯などでよく見られるタイプです。 熱された空気だけでなく遠赤外線が体の芯からダイレクトに温めてくれるので、冷え性改善やデトックスに効果的とも言われています。 比較的低温かつ電気で動くので、オフィスに向いています。
湿式サウナ
ミストサウナ/スチームサウナ
乾式サウナよりも低温(40℃〜70℃)かつ高湿度(80%〜100%)のサウナです。 熱による息苦しさを感じにくく、体への負担も少ないためゆっくり入っていられます。ミストは霧、スチームは蒸気で高湿度を保つので、肌や髪を乾燥から守りながらサウナを楽しむことができます。また、肌荒れや呼吸器系の不調の改善にも効果的です。 サウナから出たミスト、スチームで湿度が上がるのでオフィスにはあまり向きません。
フィンランドサウナ
フィンランドサウナとは60℃〜80℃前後の中温中湿度のサウナ。熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」で温度と湿度を上げて発汗を促すのが特徴的です。
サウナストーンにかける水にはアロマオイルが加えられることもあります。
こちらも蒸気が発生し湿度が上がるのでオフィスにはあまり向きません。
テントサウナ
テントサウナは耐熱テントの中にサウナストーブを設置するタイプのサウナです。簡易的でありながら薪の量やスチームによって高温(80〜110℃)、高湿度(80%〜)の本格的なサウナが楽しめます。
比較的安価かつ手軽に設置できるメリットはありますが、バルコニーなどで使用すると床の防水加工が劣化するなど、物件へのダメージがあるのでオフィスには向いていません。
オフィスに設置するなら乾式サウナの電気ストーブタイプか、遠赤外線タイプがおすすめです。
オフィス規模ごとのおすすめサウナ
オフィスへの設置におすすめな、火を使わない電気ストーブタイプのサウナをいくつかご紹介します。
小規模オフィスにおすすめ、1人用サウナ
北欧産キャビンサウナ Auroom Cala Mini(1人用)
屋内に設置可能なキャビン型サウナ。前面がガラスとなっています。
ベンチやストーブも付属しているモデルで、1人での利用に適したサイズです。日本のマンションに合わせたサイズなのでマンションオフィスへの設置を検討中の方にも。
最高110℃まで温まり、ロウリュを楽しむことも可能です。
屋外への設置は不可です。
HARVIA STANDARD S1212
HARVIA(ハルビア)は創業70年の歴史を誇る世界シェアNo.1のフィンランドのサウナヒーターメーカー。
ハルビアのサウナヒーターは40℃〜110℃までの温度調整ができ、ロウリュも可能です。
フィンランドサウナの伝統に基づく、ベージックデザインのサウナです。
SAUNAGE HOME
高いデザイン性と圧迫感の軽減を両立したデザインのサウナ。
設置したい場所に合わせてドアの開き方やヒーターの位置のレイアウトを変更できます。また、ゆったり横になれる1人用と並んで座れる2人用の2種類のベッドから選べます。
さらに、ロウリュにこだわったり、Bluetoothスピーカー・アンプセットを設置できたりと、オリジナルのサウナルームにカスタマイズできるオプションもあります。
ナチュラルスパ ゆったり1人用
ナチュラルスパは全面に遠赤外線パネルを配置し、体の深部からじわじわと温め発汗を促します。
温度は44℃〜55℃と低めなものの、100V電源と半畳ほどのスペースさえあれば設置可能と、比較的手軽に導入可能なモデルです。
床には足裏専用の岩盤浴が、天井には5種類のLEDによるカラーセラピー機能がついています。
中規模〜大規模オフィスにおすすめ、3人〜用サウナ
Auroom Cala Glass(2~3人用)
ベンチやストーブが付属しているモデルで2~3人での利用に適したサイズです。エストニアの一般的な家庭にあるサイズで、ロウリュを楽しむことも可能です。
Auroom Varia(2〜5人用)
空間のコーナーにフィットするタイプのサウナです。
横、奥行きともに1200mm,1500mm,1800mm,2000mmのサイズ展開があり、2〜5人の利用に適したサイズです。
ロウリュを楽しむことも可能です。
HARVIA STANDARD S2520
HARVIA(ハルビア)は創業70年の歴史を誇る世界シェアNo.1のフィンランドのサウナヒーターメーカー。
ハルビアのサウナヒーターは40℃〜110℃までの温度調整ができ、ロウリュも可能です。
フィンランドサウナの伝統に基づく、ベージックデザインのサウナです。
ナチュラルスパ 3人用ロングベンチ
ナチュラルスパは全面に遠赤外線パネルを配置し、体の深部からじわじわと温め発汗を促します。
こちらはロングベンチタイプで、1人なら寝そべることも可能。大人3人の利用でもゆったりと座れます。
ナチュラルスパ4人用対面2×2人
ナチュラルスパの4人用対面タイプです。
こちらは予約商品で、2023年10月中旬以降〜順次発送予定となっています。
オフィスへのサウナ設置条件や費用目安
設置する場所
ベンチャー・スタートアップ企業に見られるマンションオフィスの場合は浴室や脱衣所付近に設置するのがおすすめです。
一般的なオフィスの場合は執務室とは分け、ラウンジやリフレッシュスペースに設置するのが理想的です。
熱や湿気が発生するので、パソコン等の電子機器を使用する場所の近くへの設置は避けた方がよいでしょう。
必要な広さ
サウナブースだけならコンパクトな一人用タイプであれば0.5坪、2~3人タイプは1坪程度のスペースがあれば設置が可能です。
その他、更衣室・休憩室・パウダールーム・シャワーブース等を設ける場合はさらに広いスペースが必要になります。
サウナの設置費用
サウナの設置にはサウナ本体の購入費用の他に設置費用や周辺設備にかかる費用が考えられます。
例えば、
- サウナ本体(1人用):40~200万円
- 搬入・設置費用:20万円〜(躯体工事が必要な場合は100万円〜になる場合も)
- 防水工事(必要な場合):数十万円〜
- 電気工事(必要な場合):数十万〜数百万円
- 耐熱工事(必要な場合):数十万円〜
上記のようになるので、最低でも100万円〜は見ておくのがよいでしょう。
別途、水回りの増設工事や更衣室、パウダールームを設置する場合はさらに数百万円かかります。
サウナの設置は特殊な工事になるので、設置するサウナや物件の仕様によって費用がかなり変わってくるので、見積もりを取るのが確実です。
サウナ設置後のランニングコスト
200V・4.5kwのストーブ使用で約120円/h、温め始めから利用終了までを3時間とすると1回あたり約360円となります。
別途シャワー等を使用する場合は水道代もかかってきます。
また、清掃や衛生管理などの維持費用もかかります。
オフィスにサウナを導入する方法や手順
1.物件の管理会社・オーナーさんの許可を得る
オフィスへのサウナ設置での一番のハードルは物件選び、管理会社・物件のオーナーさんの理解を得ることと言えるでしょう。
サウナの設置は前例が少ないうえ、熱や重量など物件へのリスクが高い設備のため、一般的なオフィスビルでは許可が得られづらいと考えられます。
確認事項も多くあるので、一つ一つ専門業者と確認していきましょう。
2.各種設備・法律・条例の確認
物件がサウナブースの重さに耐えられるかや、電力が足りるか、シャワーを設置したい場合は使用可能な水の量の確認が必要です。
その他、サウナの熱による空調負荷や、熱感知器、消防法や一部建築基準法の確認も必要になります。詳細については専門業者と確認しましょう。
(サウナ業を営むわけではなく、オフィスの従業員のみで楽しむ場合は事業用の各種申請は不要です。)
ここでも物件が絞られる可能性がありますが、電気容量や排気システムは追加の工事で解決する場合もあります。
3.設置するサウナブースの選定・設置が可能かの確認
設置したい箇所に希望のサウナブースが置けるか、そこまでの搬入経路が確保できるかの確認をしましょう。
オフィスの新設や移転時にサウナを導入する場合はそれに合わせた設計が可能ですが、すでに使用しているオフィスに追加導入する場合はレイアウト変更が必要になります。
4.ガイドラインの策定
利用前に従業員の健康チェックと適切な利用方法についてのガイドライン、ルールを策定しましょう。
掃除や衛生管理など、メンテナンスについてのルール作成や従業員の教育も必要になります。
5.設置
購入先の業者や専門の業者に依頼して設置を行います。
要注意! オフィスのサウナ設置でつまづくポイント
サウナは特殊な設備のため、つまづくポイントも多くなってきます。
事前につまづきやすいポイントを押さえて適切な準備を行い、専門家の協力を得るなどしてスムーズにプロジェクトを進めていきましょう。
物件の設備とスペース
サウナを設置する際は排気や温度管理が必要になるため、特定の要件を満たすための設備が必要になる場合があります。物件によっては必要な設備がなかったり、改修工事が難しい場合があります。
また、サウナブース本体以外にも更衣室などを作る場合はオフィス内に十分なスペースを確保するのが難しいことがあります。
許認可、規制
サウナの設置には法律や条例の遵守が必要です。規制を遵守するために必要な手続き、書類作成にもコストがかかります。
安全性とリスク管理
高温となるサウナをしようする際には従業員の安全を確保する必要があります。
適切な注意表示や緊急時の対応策などの準備が必要です。安全性の確保やリスク管理については専門家の協力を得ることが重要です。
従業員の理解と協力
サウナの設置や利用に関して、従業員の理解と協力が必要です。また、利用ガイドラインの作成や教育が適切に行われないと利用ルールや安全に関する問題が生じる可能性があります。
オフィスにサウナを設置した企業事例
オフィスにサウナを実際に導入した企業の事例を見ることができます。
【オフィス】キャビンサウナ 導入事例 / お客様の声:株式会社ハピラフ・富田様
駐日大使も絶賛…設計会社の新オフィスに“フィンランド式サウナ” 社長「体を健康に,心をポジティブに」
オフィスにサウナ設置をご検討の企業様へ
木下商会はオフィスを中心とした空間設計・デザイン・工事等を行なっている会社です。
オフィスにサウナの設置をご検討中の方ご相談、お見積もりが可能です。
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まとめ
オフィスへのサウナの設置は、従業員の健康促進、ウェルビーイング、パフォーマンスの向上、オフィスの価値体験の向上が期待できます。しかし、設置までには多くの重要なステップがあります。
従業員がサウナでリフレッシュし、より良いパフォーマンスを提供できるオフィスを目指し、適切な計画を立て、専門家のサポートを得ながらプロジェクトを進めていきましょう!