働き方

ベンチャー企業50人規模のオフィスは何坪(平米)?選び方や働きやすくする方法

スタートアップ企業やベンチャー企業が成長し事業が軌道に乗ってくるとそれに合わせて社員数も増加します。その時に超えなければならない壁がいくつかあると言われています。

そのひとつに「50人の壁」があります。社員数が50人規模になりますと、それまでの少人数で運営していた時とはことなり、対処しなければならない課題も増えてきます。

そしてオフィスのあり方も変わってきます。

この記事では50人規模のオフィスを検討されている企業の社長様や担当者様に向けて、適切な広さやより有効な使い方ができるレイアウトを紹介します。

ぜひ最後までお読みいただき、貴社のオフィス選びにお役立て下さい。

50人規模オフィスの広さの目安

オフィスの広さを決める目安として、一人当たりの面積は2〜4坪といわれています。

50人であれば100坪以上必要になります。

これは執務スペース以外の広さをどのくらい確保するかによっても変わってきます。50人規模であれば会議室も複数必要になりますし、エントランスもより充実した作りになってきます。

また休憩スペースについても社員数に応じた広さが必要になります。こうしたことから50人規模のオフィスであれば150坪程度は必要と考えておいた方が良いでしょう。

また100坪前後のオフィス賃料の相場はエリアや条件によって差があります。東京都のボリュ-ムゾーンは坪単価25,000円程度になりますので、100坪ですと250万円が目安になります。

移転目的によって入るビルが変わる

オフィスの移転先を決める際には、移転の目的によっても検討対象となるビルが変わってきます。

大きくはブランディングのための移転なのか、あるいはオペレーションの増大に対処するための移転なのかによって入るオフィスかで異なります。

ポイントとなるのは「デベロッパーの管理するビルか、それ以外か」ということです。

デベロッパーの中でも大手といわれているのが、三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産、野村不動産、森ビルの6社になります。

※デベロッパーとは
不動産・建築業界では「土地や街の開発事業者」のことを指します。デベロッパーは「用地取得」「企画」「開発」「販売」「管理」といった不動産・建築業界の仕事の多くの工程に関わっています。主な事例としては「東京ミッドタウン」や「虎ノ門ヒルズ」などがあります。

デベロッパービルとそれ以外のビルの特徴

デベロッパービルとそれ以外のビルでは、大きな差があります。周辺環境や管理レベルに関してはデベロッパービルの方が高い水準にあります。また、デベロッパーのネームバリューも大きな特徴です。その分、費用面では高額になってきます。自社のオフィスをどちらにするのかは、移転の目的や中長期的な経営方針に沿った判断が必要になります。

ここではデベロッパービルとそれ以外について主な項目を比較します

デベロッパービル

①賃料
全体的に賃料は高くなります。条件により異なりますが、坪単価で見ると約3,000円〜10,000円程高くなります。100坪ですと30万円から100万円ほどプラスになります。

こうしたことから、デベロッパービルを選択する目的は、自社のブランディングのためという側面が強くなります。

②共用部
共用部についても、大きなリフレッシュコーナーを設置するなど開発コンセプトに基づく様々な工夫がなされています。建物のみならず、周囲の環境も含めて共用するというイメージです。

③管理体制
ビル管理についてもデベロッパーのグループ企業が担っており、高度なセキュリティを実現しています。

デベロッパービル以外

①賃料
デベロッパービルよりは安くなりますが、都心の人気エリア5区(千代田区、港区、新宿区、中央区、渋谷区)は空室率が低く賃料が上昇傾向にあります。

特に100坪を超える広さを確保することは難しくなってきている状況です。オフィス移転の目的が、オペレーションの増大に対応するものであれば、あえて人気エリアを外すということも検討する必要があります。

②共用部
一般的なビルでは、共用部分は千差万別です。共用部は日々の業務を快適に行うためにも重要な役割を担います。オフィスを選ぶ際には専有部分だけでなく、共用部分の確認も重要になります。

オフィスビルの管理レベルは共用部分を見ればわかるとも言われます。共用部は事前に十分確認しましょう。

③管理体制
ビル管理は管理会社が行っていることが一般的です。その管理会社の実績やノウハウが管理レベルの差になって現れます。オフィスを選ぶ際にはそのビルの管理会社に関しても事前に調査しておくことも重要です。

50人規模オフィスの選び方のポイント

実際にオフィスを選ぶ際には、費用やロケーション以外にも注意すべき点がいくつかあります。ここでは、どのような点を注意し確認すればよいのか、そのポイントについて解説します。

1.間取り・レイアウトの選ぶポイント

変形フロアは避ける

変形のフロアは避けましょう。極力スクエアな物件を選んでください。変形のフロアですと、人の導線が入り組んだり、何にも使えないデッドスペースが生まれてしまいます。

ワンフロアを選ぶ

オフィスが100坪を超えるとビルによっては2フロアになってしまうことがあります。やはり業務上使い勝手が悪くなりますので、ワンフロアを選びましょう。

柱の位置に気をつける

フロアの中心に柱がある物件は極力避けましょう。コミュニケーションの妨げや家具・機器類の配置に支障が出ることがあります。

2.会議室は複数設置

会議室は専有部に3部屋以上は確保したいところです。その内1部屋は10人以上が入れる大きな会議室が必要です。会議室はミーティングや商談に利用するだけでなく、社員教育用の施設としての役割もあります。

特にOFF-JTによる集合研修を社内で実施する場合などは大きな会議室が有効です。

3.エントランス空間を充実させよう

エントランスは会社の第一印象に大きな影響を与えます。特に本社機能を持つオフィスであれば来訪者に好印象を持ってもらうためにも丁寧に作りましょう。

エントランスは会社や製品・サービスのブランディングをする場所としても機能します。自社製品を展示したり、サービス紹介のパネルを設置するなどブランディングを実施しましょう。

また、来訪者にとって快適な空間にすることも大切です。ソファやテーブルなどを置き、ウエイティングスペースの工夫をしましょう。

最後に、エントランスと執務スペースの間にはセキュリティ対策が必要です。外部の人が執務スペースに立ち入ると、機密情報や個人情報の漏洩につながります。ICカードでの入退室管理などエントランス作りとセキュリティ対策は会社の信頼性確保のためにも同時に行うことが重要です。

4.ビルセキュリティ

ビル全体のセキュリティシステムは必須要件ですが、自社の業務内容を考慮して、24時間、土日も使える物件を選びましょう。

5.共用部その他の注意点

  • トイレは男女別が必須要件です。さらには設置場所や広さ、快適さなどもチェックしましょう。
  • 喫煙場所についても事前に確認しておく必要があります。喫煙者数は減少傾向にありますが、喫煙者と非喫煙者が混在しているのが実態です。ビル内に無ければ喫煙所を設置する場合もあります。
  • 各種自販機の有無も確認しましょう。社員の働きやすさにも直結します。
  • オフィスから出るごみ処理はビル契約の業者が対応することが多いです。ルールについても事前に確認しておきましょう。
  • ビジネスの進展状況によっては急な増員が必要になる場合があります。オフィスの広さを決める際には、現状だけで判断せずに、余裕を持った広さにしていきましょう。

50人規模のオフィスのレイアウトサンプル

150坪、200坪それぞれの広さのレイアウトサンプルをご紹介します。

150坪_Aパターン

150坪のオフィスのサンプルレイアウト、Aパターンです。
フリーアドレスエリアやカフェエリアなど、役割ごとにエリアを分けたり、会議室を複数設けたりできるようになります。

150坪_Bパターン

150坪のオフィスのサンプルレイアウト、Bパターンです。
応接室やバックヤードなども十分なスペースをとることができます。

200坪_Aパターン

200坪のオフィスのサンプルレイアウト、Aパターンです。
通常のワークスペースだけでもかなりの席数を確保することができます。

200坪_Bパターン

200坪のオフィスのサンプルレイアウト、Bパターンです。
その日の仕事に合わせて働く場所を選べるレイアウトです。

50人規模で働きやすいオフィスにするためのポイント

オフィスは単に仕事をするだけの場所ではありません。1日の3分の1以上の時間を過ごすのですから生活の場とも言えます。より快適で働きやすいオフィスにすることが、仕事の生産性や会社に対するエンゲージメントを高める大きな要因になります。

そこでどのような点に配慮したら良いのかを解説していきます。

オフィスブランディングの実施

来訪者だけでなく社員にとっても心地よく過ごせるエントランスや応接室を工夫することは、会社に対してポジティブな印象を与えることにつながります。また自社の採用活動にとっても有効な施策です。

例えばエントランスにオフィスのロゴやコーポレートカラーを取り入れることも社外ブランディングとして効果が期待できます。

オフィス什器、備品、設備

執務用のデスク・椅子以外にも、ファイルや資料を保管するキャビネット、私物を保管するロッカーなども必要になってきます。また事務用品や消耗品などの備品についても、保管場所や管理方法を決めていかなければなりません。

什器類を選ぶ際のポイントとしては、機能性だけでなく、デザインやカラーも自社のイメージに合ったものにします。オフィスの印象を変えるためにもデザインにもこだわりましょう。

また設備については、50人規模になりますと、複合機などは2台以上必要になることもあります。パソコン作業においても作業効率を高めるためにサブモニターの設置も必要になります。什器や設備は作業効率に影響するだけでなく、会社のイメージや雰囲気も左右します。

オフィスの運用方法

50人規模になると、座席の運用も気になるところです。フリーアドレスでも固定席でもそれぞれメリット・デメリットがあります。自社の事業内容や社員の働き方・マネジメント手法に沿ったあり方を見極めて下さい。

また社長や役職者の独立した席も検討対象になってきます。特に社長に関しては社長室の設定も考えられますが、まだこの規模ですと個室は不要と考えます。

さらに近年はコミュニケーションを促進する観点からオープンなオフィスレイアウトを選択する企業が増えています。オフィススペースの有効活用という観点からも社長室の設置は避けた方が良いでしょう。

福利厚生や環境整備

休憩スペース

執務スペースとは別に休憩スペースの導入も検討してください。休憩スペースは単に仕事の合間の休息時間を過ごす場所だけではありません。業務中に途切れた集中力を回復させるためのリフレッシュスペースであり、コミュニケーションを活性化させる場所でもあります。

快適でおしゃれな休憩スペースは来訪者に良い印象を与えたり、新卒・中途採用といった採用活動にも有利に働く可能性があります。休憩スペースを設置するときに重要なのはできるだけ社員の要望を取り入れることです。スペースだけでなく、どんな設備が欲しいかなども把握しましょう。

設備としては冷蔵庫、電子レンジ、湯沸かしポット、ミニキッチン、フリードリンク、カフェなどが一般的です。またランチなどの食事の問題の対策として、置き型社食や各種自販機の設置も社員から喜ばれるでしょう。

オフィスの緑化

さらに環境整備としてオフィスの緑化を検討してみて下さい。オフィスの緑化にはいくつかのメリットがあります。ストレス軽減や視覚疲労の緩和、コミュニケーションの活性化などです。快適なオフィスづくりのためにも観葉植物などの導入を検討してください。費用面は一概に決められませんが、おおよそイニシャルコストとして50万円くらいを目安にしましょう。

最後にオフィスごみの処理についても、事前に管理会社などへ確認し、排出処理の運用の簡略化も検討しておきましょう。

まとめ

50人規模のオフィスの選び方について解説しました。検討課題は多岐に渡りますが、基本的な考え方についてまとめておきます。

移転先を決める際のポイントは「移転の目的」を明確にすることです。

この移転が業務量の増大に対処するだけなのか、あるいは企業ブランディングを伴うものなのかということです。この目的の違いによって検討対象となる物件が変わってきます。移転計画立案には中長期的な視点を持つことが重要です。

基本方針を踏まえたうえで、事業計画や予算規模に応じたオフィス選びを進めることが大切です。50人規模のオフィス移転を検討されている企業様にとってこの記事がお役にたてることを祈っております。