新型コロナウイルスの影響により、私達の働き方は大きく変わりました。オフィスへの出勤は必須ではなくなった代わりに、オフィスで行っていた業務はオンラインに置き換わっています。その中で最も注目されたのは、Web会議です。
本記事では、そもそもWeb会議とは何かという疑問からテレビ会議との違いや、なぜZOOMが流行っているか、Web会議に対応したオフィスとはどのようなものかなど、混乱しがちなもののなかなか聞けないテーマについて解説します。
Web会議とは
Web会議とは、インターネット回線を使ったミーティング(以下、MTG)のことです。遠隔地同士をインターネットを介して繋ぐことにより、時間や場所を問わMTGを行うことができます。
また、似た用語に「テレビ会議」がありますが、Web会議とは回線や機器も異なり、厳密には別のスタイルです。両者の違いについても、詳しく説明します。
映像と音声を遠隔で繋いでMTGする方式(種類)
動画通話型(1on1動画でやり取り、モバイル環境からの発展)
動画通話型とは、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末を通じ、1対1で行うMTGのことです。
ドコモの携帯電話 fomaのテレビ電話やFacebookのメッセンジャー、AppleのFacetime、当初のskypeなどが例に挙げられ、モバイル環境から発展した点に特徴があります。動画通話型は1対1での使用が前提となるため、多人数のMTGには向いていません。
Web会議室型(web上に会議室を設定して、参加者が入ってくる。回線の質に依存)
Web会議室型は、インターネット上にヴァーチャルの会議室を設定してMTGを行います。参加者はWeb上に設けられた会議室にアクセスすればよいため、多人数でのMTGにも適しており、拡張性にも優れている点がメリットです。
旧appier in、ZOOM、MEET、TEAMSなど多くのメジャータイトルがWeb会議室型であり、当初はマイナーな会社も多かったものの、現在でも新規参入する企業があります。
一方で、Web会議室型の快適さは、インターネット回線の質に依存します。特にZOOMのようなクラウドサービスの場合、サービス側のサーバーにアクセスが集中すると、快適さは損なわれる傾向にあります。
この点を解決するのは、オンプレミスにすることです。オンプレミスとは、自社内にWeb会議用のサーバーを構築するスタイルです。Web会議室型はコストパフォーマンスに優れているのが大きなメリットですが、オンプレミスはクラウドよりも費用が高くなる点にデメリットがあります。
しかし、オンプレミスはセキュリティ面を強化でき、クラウドに比べてカスタマイズ性も高い点がメリットです。
テレビ会議型(専用回線で部屋と部屋をつ繋ぐ。安定性抜群)
テレビ会議型は、ZOOMといったWeb会議よりも前の世代にあたる遠隔MTGシステムです。CiscoやPolycomといったメーカーに始まり、SONYやPanasonicといった日本の会社も参入するなど一時代を築きました。今も会社に残っている「テレカン」と呼ばれるAV機器も、ほぼこの部類になります。
テレビ会議室型は、専用回線で部屋と部屋を繋いでシステムを構築します。Web会議室型に比べ安定性が抜群な点にメリットがありますが、専用回線が必要なため費用も高くなります。また、決まった部屋でしか使用できないため、時間や場所を選ばないWeb会議室型と比べると、柔軟性でも劣る点がデメリットです。
テレビ会議からWeb会議へ
以前のオフィスでは、テレビ会議が主流でした。しかし、無線回線のクオリティが進歩したことにより、現在ではWeb会議もテレビ会議と遜色のない快適性を実現しています。そのため、主流もテレビ会議からWeb会議に変わってきている状況です。
スマートフォンやタブレットの普及によって、個人単位でのオンラインMTGが増加したことも、Web会議が主流となる一因になっています。
オフィスにおけるWeb会議導入方法
オフィスにWeb会議を導入する際は、ニーズにあわせて3つの方法で対応するとスムーズです。
個人のウェブ会議の増加
①個人用のブース+ヘッドセット(高機能)
個人のWeb会議が増加すると、それに伴いオフィス内の騒音が問題となってきます。雑音がWeb会議の妨げにならないよう、個人用ブースを導入するのがおすすめです。
個人用ブースに加え、高機能のヘッドセットを導入すると、より利便性が高まります。スピーカーホンでは周囲の会話といった騒音を拾いやすく、ノイズによって会話が聞き取りにくいからです。
ヘッドセットを使うことにより、Web会議の快適性を高め、会話の機密性も高めることができます。クリアな音声なら、Web会議を行う上で相手に不快感を与えることもありません。
チーム対チームのWeb会議
②部屋同士を繋ぐ場合:会議室にPC+Webカメラ+集音マイク+スピーカー
チーム対チームのWeb会議で、部屋同士を繋ぐ場合は、会議室にPC、Webカメラ、集音マイク、そしてスピーカーが必要になります。
最近では、この用途に適した、小型で場所を取らない集音マイクとスピーカーがセットになった商品もあります。また、スイスに本社を置くLOGICOOLは、Web会議向けにWebカメラ、集音マイク、スピーカーの全てがセットになったRally Barのような製品も販売しています。Web会議用の機器はカジュアル化してきており、LOGICOOLのような一体型がおすすめです。
③オンライン上で集まる場合:ノートPC+ヘッドセット(高機能)
ZOOMを使ったWeb会議のように、個人がそれぞれオンライン上に集まる場合は、ノートPCとヘッドセットが必要になります。
ヘッドセットは、やはり周囲の騒音を避けてクリアに会話を伝えるために必要であり、高機能な製品が望ましいです。
Web会議を「ZOOM」と呼ぶことが増えている?
Web会議ツールはZOOM(ズーム)が代表的ですが、クラウドサービスだけでもMEET、TEAMSといったメジャーなサービスがあります。しかし、一般的にはWeb会議=「ZOOM」と呼ぶ人が増えている印象です。これには、複数の理由が考えられます。
①UIが優れていて使いやすい
ZOOMの優れているポイントに、UIが使いやすい点が挙げられます。ZOOMのUIはとてもシンプルなため、PCやスマートフォンの操作に明るくない方でも、誰でも直感的に使えるのが大きなメリットです。
セキュリティに即アクセスできるアイコンもあり、利便性だけでなくセキュリティ面にも配慮されているのも、ZOOMがシェアを獲得している理由でしょう。
②無料で使える部分が多い
ZOOMは無料で使えることも後押しとなり、メジャーなWeb会議ツールとなりました。無料で使える機能には、画面の共有、参加者のグループ分け(大人数でのWeb会議に便利)、録画・録音機能、テキストチャットなども含まれています。
無料で使える機能の多いZOOMですが、リモート操作が使える点もメリットです。参加者の中にPC操作に困る方が出た場合でも、リモート操作によって遠隔操作することができ、スムーズなWeb会議をサポートできます。
③タイミングよく企業のベテラン社員に認知された
新型コロナウイルスにより、ZOOMはWeb会議だけでなく、「ZOOM飲み会」といったプライベート利用にも広がりました。
リモートワークをはじめ、オンライン上でのコミュニケーションが社会全体に広がり、ZOOMも幅広い年齢層に認知されました。タイミングよく企業のベテラン社員に知られるようになったことも、ZOOMがシェアを広げた理由の一つです。
④4G回線が浸透してモバイルでも回線のクオリティが担保されるようになった背景が大きい
Web会議は、回線の質によって快適さが左右されるのが問題点でした。しかし、近年では4G回線が浸透したことにより、モバイル回線の安定度は飛躍的に増しました。
Web会議は、クオリティが担保されたことにより、テレビ会議に変わって主流となっています。時間や場所を選ばず、かつコストパフォーマンス高いWeb会議は、5G回線の普及によりさらに快適さが増すことも期待できます。
ついでに聞きたいインサイドセールスって?
インサイドセールスとは、Web会議システムを利用することにより、オンライン上で訪問なしに営業する方法です。
近年ではベルフェイスのように、CRMとWeb会議システムを一体化したサービスが増えてきています。これは、CRMと電話システムが一体化した、コールセンターサービスのようなスタイルです。
Web会議システムはクラウドサービスが主流なため、この分野では今後セールスフォースといったCRMとの連携が進んでいくと予想されます。
一口にWeb会議といっても、その背景を知ることで弱点や今後の主流が見えてきます。今後、オフィスにおいてWeb会議への対応は必須となっていくでしょう。Web会議サービスを正しく依頼するためには、設計者だけでなく、オフィスに入居する企業の担当者の方も、背景を深く理解しておく必要があります。
まとめ
Web会議とテレビ会議の違いから、ZOOMが流行している理由などについて解説しました。
Web会議とは、インターネットを介して行う遠隔会議システムのことです。かつて主流だったテレビ会議とは異なり、コストは安く、時間や場所を選ばない利便性の高さから、近年普及してきています。
特に、Web会議ではクラウドサービスのZOOMがメジャーです。ZOOMは無料で使える機能が多く、UIもシンプルで誰でも使いやすいため、シェアを獲得しています。ZOOMを含めるWeb会議の快適さは回線の質に左右されますが、モバイル回線の安定度が増したことにより、利便性でもテレビ会議を凌いでいます。
オフィスに導入する場合、まずノートPCかPCが必要です。加えて、個人のWeb会議なら個人用ブースと高機能のヘッドセットがいります。高機能のヘッドセットはクリアな会話を助け、ZOOMを使ってオンライン上で集まる際にも便利です。また部屋同士と繋ぐ場合は、LOGICOOL Rally Barのような、Webカメラ、集音マイク、スピーカーの全てがセットになった製品がおすすめです。
Web会議システムは、CRMとの連携により、インサイドセールスというオンライン上での営業にも活用されています。今後もクラウドサービスは発展していくため、Web会議への対応は不可欠です。正しくWeb会議システムを依頼するためには、オフィスに入居する企業の担当者の方も、背景を深く理解しておく必要があるでしょう。