居抜き

居抜きオフィスをおしゃれに見せる方法〜天井編〜

日常生活で天井に目線がいく事は少ないと思いますが、天井はみなさんが思っているより汚れが多く蓄積する場所の1つです。部屋の天井を見上げてみてください。照明が逆光になって見えづらいと思いますが、照明の部分を手で隠すと……見えてきませんか?ホコリやシミ、カビなどの蓄積された汚れが。

前の入居者が使用していた内装や什器などを残す「居抜きオフィス」でも同じ事がよくあります。リフォームが完了した後に天井の汚れが気になるという声は、意外と少なくありません。

本記事では、居抜きで入居する際に清潔でおしゃれなオフィスでスタートを切るための天井リフォームの知識を、プロのインテリアデザイナーが実例を交えながらわかりやすくご紹介します。

内装工事なしで出来る!DIYでおしゃれな天井へ

まず、内装業者に依頼せずにできるDIY天井リフォームには、どのような種類があるかをご紹介します。

この方法は、材料費と工具の費用のみで済む事から、大きなコスト削減につながります。限られた予算の中でリフォームを考えている会社は、DIYでのリフォームを検討してみてはいかがでしょうか?

※DIY:「Do it yourself」の頭文字をとった略。自身で何かを作ったり修繕する事。

①塗装工事

DIYで比較的容易に行えるのが塗装工事です。元の天井に大きな穴や傷など目立つ損傷がない限り、簡単にクリーニングすれば塗装作業を開始して問題ないでしょう。

では、準備や工事をする上で注意した方がスムースに作業できるポイントを見ていきましょう。

ポイント1)天井の塗装は一番はじめに取り掛かろう

なぜ、天井の塗装を一番はじめに取り掛かるのが良いかというと、重力が関係してきます。

ローラーなどで塗る場合、淵に塗料がたまりやすくなります。たまった塗料はローラーを天井に押し付ける事によって絞り出され、下へ落ちてきます。そのため、床や壁をリフォームした後に天井を塗装すると、念入りに養生が必要となり時間と労力を費やします。
リフォーム前であれば後から新しい物に交換されるため、多少塗料がついても気にならないので、おすすめです。

※養生:工事の作業中に先に完成した部分や作業の対象物の周辺を破損や汚れから守る工程の事。

ポイント2)塗料の色選定は冒険しがち!白ベースで選ぶのが無難

「せっかく塗装するのであれば、ガラッと雰囲気を変えてみたい!」と思うのは自然な事です。しかし、派手な色や暗い色は長時間滞在するオフィスなどの空間では、圧迫感やストレスを与えてしまう恐れがあります。

アパレル店やレストランなどの商業施設、またテーマパークなどではお客さんにインパクトや臨場感を感じてもらうために派手な装飾で演出をする傾向にあります。ところが、オフィスでは気が散る要因になりかねません

集中力を高める効果には、普段の生活と大きく変わらない白を基調とした色味を選ぶ方が無難です。白の無機質な雰囲気が嫌な場合は、アイボリー系の白が温かみのある雰囲気を作り出してくれるのでおすすめです。

②クロス張り替え

次にDIYで行う事ができる工事としてご紹介するのが、クロスの張替え工事です。塗装工事より専門的な技術が必要とされる工事ですが、最近ではDIY用の道具や材用が販売されているので挑戦してみてはいかがでしょうか?

ここでは、DIYでクロスの張替え工事を始める前に知っておくと便利な知識をご紹介します。

ポイント1)DIY初心者は柄物ではなく「単色」を選ぼう

クロスの張り替えで難しいとされるのが、端に描かれた柄と柄を合わせる作業です。職人さんでも得意・不得意がある分野です。細かい作業や几帳面な性格の方には向いているかもしれませんが、不安な方は単色のクロスを使う事を検討してみてください。

ポイント2)ショールームで大きなサンプルを見てみる

クロスの種類は豊富です。インテリアデザイナーでも目移りして、なかなか決められない事がしばしばあります。代表的なクロスメーカーには「サンゲツ」や「東リ」があり、誰でもホームページの電子カタログを見る事ができます。

カタログを見る時に注意したいのが、小さいサンプルと大きな面積の印象の違いです。
気に入った柄を見つけたけど、天井のように大きな面積に貼ると印象が随分変わる事があります。色も同じく、大きな面積で見ると同じ色なのに薄く感じる視覚効果があります。

そんな間違いは避けたいので、おすすめしたいのが直接ショールームに見にいく事です。ショールームでは大きなサンプルを見せてもらう事ができます。他にも小さいサンプルでは魅力的に感じなかった物が大きいとよく見えたり、新しい発見もあるので、クロス選びに困った際は足を運んでみてください。

本格的な天井リフォームは内装業者にお願いしよう

「天井のリフォーム」とインターネットで検索すると、かっこいい実例集を見つける事ができます。塗装やクロスの張り替えだけでは普通すぎてつまらないと思ったら、本格的なおしゃれ天井の導入を検討してみてください。

DIYで本格的な天井リフォームを行うのは難しい内容なので、プロの内装業者にお願いする方が好ましいでしょう。
費用はDIYに比べて嵩みますが、プロに依頼する事で他のオフィスと差別化を図る事ができたり、後々相談できる窓口があるなど、メリットもたくさんあります。

それでは、おしゃれなオフィスに似合う天井についてご紹介しましょう。

①スケルトン天井

「スターバックス」などのおしゃれなコーヒーショップから発信され、多くの店舗デザインに広く使われるようになったのが「スケルトン天井」です。

通常の平たい天井の裏には空調設備やスプリンクラー管などの設備が隠してあります。スケルトン天井は、通常では隠す設備関係を剥き出しにして、天井の高さを確保する狙いがあります。

  • メリット)天井高を確保すると空間を広く見せる効果がある。
  • デメリット)ホコリなどがたまりやすく、高い位置の掃除が難しい。

②板張り・ルーバー天井

板張りの天井

木のフローリング床と同様、天井にフローリングを貼ったようなデザインを「板張りの天井」と言います。厳密に言うと床の材料とは異なり、一般的には軽量化された木材や木の柄がプリントされたパネルを使います。

皆さんご存じの通り、木のぬくもりは温かみがあり、身体的なリラックス効果や集中力の向上などの働きがあります。

ルーバー天井

「ルーバー天井」とは、木の板を天井に対して垂直に取り付ける事で、天井に木の凹凸を作り出します。

おしゃれな空間を演出できる以外にも、照明の光源を隠すのに有効な手法です。照明が直接、視界に入って眩しいと感じる方におすすめの種類の天井です。

  • メリット)おしゃれ且つ、温かみのあるリラックスした空間になる。
  • デメリット)本物の木材を使うと高価になる。

「吊り下げアイテム」で天井をワンランクアップ

天井の面だけを変えるのが天井リフォームではありません。天井から「吊り下げる」というアイディアをご紹介します。

空間が間延びしていると感じたり、インテリアに物足りなさを感じた時に使えるテクニックです。内装業者にどのタイミングで伝えるとスムーズに工事が進むかも併せてお伝えします。

①ペンダント照明

天井から吊り下げるタイプの照明器具を「ペンダント照明」と言います。

従来はデザイン性のあるペンダント照明は照明器具メーカーを通して購入する方法が一般的でした。今では「TABROOM」や「FLYMEe」などの家具・インテリアの通販サイトが増え、デザイン性のあるペンダント照明を購入しやすくなりました。

内装業者に伝えるタイミングと内容

照明は電気工事や他の配線工事が絡むので、初期の話し合いでどの位置にいくつ吊り下げたいか伝えておきましょう。正確な位置は後から調整できるので、大まかな位置で問題ありません。

②観葉植物

吊り下げ式の観葉植物も最近の流行りです。

木材と同様にリラックス効果をもたらし、空間をおしゃれに演出する効果があります。また、目隠しとしても使用できるので、人の目線が気になる場所へ取り付ける事もできます。

しかし、植物は水やりのメンテナンスが必要なため、手間と感じる人には造花もおすすめです。最近の造花の精度は非常に高く、おしゃれな多肉植物や南国系植物のシリーズも販売されているので、調べてみてはいかがでしょうか?

内装業者に伝えるタイミングと内容

リフォームの内容は、早く伝えた方が内装業者としてはスケジュールの調整がしやすいですが、工事の終盤に取り付けたい旨を相談する事もできます。自分たちで取り付ける事も可能ですが、天井の下地を狙って取り付けを行わないと植物の重みで外れてしまうので注意してください。

まとめ

普段あまり気にする事がない天井ですが、調べてみると奥が深いデザインポイントの1つです。ご紹介した天井リフォーム以外にもたくさんの種類があるので、興味のある方はこの機会にぜひ調べてみてください。

内装業者に頼むと金銭的に心配という方もいらっしゃるかと思います。しかし相談だけであれば通常は無料ですし、プロの知識やアイディアにより予算内で何ができるか親身に考えてくれる事がとても多いです。自分のできる事とやりたい事が一致しない場合は、相談してみる事も視野に入れてみてください。