内装や設備、什器などのコストを最小限に抑えることができる居抜きオフィスですが、入居時に注意しておきたいことの一つが、電話やインターネットなどの回線工事についてです。この回線工事をおろそかにすると、業務に多大な支障をきたす恐れがあります。
本記事では、居抜きオフィス入居時の回線工事のポイントと注意点についてご紹介します。居抜きオフィスに興味がある方、オフィス移転を検討されている方におすすめの内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
回線工事とは(電話回線・ネット回線)
回線工事とは、固定電話とインターネットを利用するための工事のことを言います。さらに厳密に言えば、
- 自分たちが入居するビルに線を引き込むのを回線工事
- 自分たちのフロア内で電話やWifiを設置してネットワークの構成をする工事をネットワーク工事
と言って、それぞれ違う工事となります。もちろん、これらの工事を一緒にお願いできる会社もあります。
居抜きオフィスでは机や椅子は残っていますが、月々の契約が必要となる回線については、居抜き物件に入居が決まっても自動的についてくるわけではありません。回線工事はある程度決まった納期がかかるため、すぐに使い始められる居抜きオフィスのメリットを活かすためには、物件契約後一番最初に手配しなければなりません。
また法人の契約になると、電話回線とインターネット回線を別々の会社に依頼した方が良い場合がありますので、どんな風に使っていきたいか?リスクヘッジをどれだけ盛り込むか?コストと合わせて比較検討する必要があります。
オフィス入居時・移転時に必要な手続き
では、オフィス入居時・移転時に必要な手続きについてご紹介しましょう。
①現在使用している電話回線、およびインターネット回線の確認
まず、現在(旧オフィス)の電話回線とインターネット回線についてどのようになっているのかを確認しておく必要があります。移転することが決まったら社内の担当部署と既存の契約している会社に依頼をかけ、現状を確認しましょう。
電話回線の種類
- アナログ回線(ダイヤル回線・プッシュ回線・FAX回線)
- デジタル回線(ISDN)
- IP電話(俗に言う、ひかり電話)
インターネット回線の種類
- 有線タイプ(光回線・CATV・ADSL・ISDN・ダイアルアップ接続)
- 無線タイプ(ポケットWi-Fi・スマートフォンのテザリング)
これらの何を、どのように使っているのか、契約内容も含め把握しておきましょう。新オフィスでの契約に向けて、契約を見直す機会にもなりますよ。移転先でどのように利用したいかによっても異なってくるので、要望も伝えるようにしましょう。
電話番号については、NTTの同じ基地局内は番号を引き継げるので、オフィスの住所によって現在使用している番号をそのまま次のオフィスでも利用できる場合があります。
提供しているサービスに電話番号が紐づいている場合など、変更を周知するのに色々とコストがかかります。そのため、そのまま同じ番号を利用できれば、コスト削減にも繋がります。どうしても番号を引き継ぎたい場合は、アナログ回線をやめて電話システムをクラウドに移行する手段もありますので、合わせて検討しても良いかもしれません。
②引き継げる機器の種類を確認する
使用する機器の種類を確認しておくことも重要になってきます。
ビジネスフォン
これまでは家庭用の電話機を用いていたという企業でも、複数の外線と内線を共有することができる「ビジネスフォン」と呼ばれる固定電話機に変更、もしくは居抜きの設備として引き継ぐ場合があります。
ビジネスフォンをオフィスで導入するためには、交換機(主装置=PBX)工事、配線工事、電話設定工事などが必要になります。同時通話できる回線数に限りがあるので、使用人数などはあらかじめ決めておくと良いでしょう。電話回線を契約するのに回線数(発信番号を何回線持つのか、同時着信を何回線持つのか)が一つの要件となります。
ネットワーク機器
ホームユースのインターネット回線だと、ルータ兼Wifiの機器が貸与されている場合が多く見られますが、ビジネスユースに求められる容量やセキュリティ、リスクヘッジがなされていないため、10人以上の規模で活動する場合は新たにネットワーク機器の構成を考えなければなりません。
ただ、必要な機器が規模に依存して変わるため、居抜きで引き継げる場合もありますので、ルータ、アクセスポイント(=AP、Wifiを構成するための装置)、スイッチハブなど内容と構成を確認が必要です。
③引き継げる契約の有無
前の入居者が配線などを撤去していなければ、稀に名義変更などの簡単な手続きで開通させることができます。もし、居抜きでビジネスフォンやインターネットをそのまま引き継ぐという場合には、トラブル防止のため名義変更およびリース契約の引き継ぎなどは必ず行っておきましょう。
④新しい回線の契約
オフィスの規模、事業内容によって新しい回線の契約に関する適切な要件は変わってきます。社内に情報システム担当がいない場合は、要件をまとめるのを外部の専門ベンダー(電話もインターネット両方扱っている会社)に依頼しましょう。
ただし外部に依頼する場合、依頼から契約まで2週間はかかります。もし可能であれば、商品やサービスと結びついている企業ではなく色々なサービスをフラットに提案してもらえる企業さんに依頼できれば良いですね。
また、既存の契約をアップデートして移転先に合わせた契約に変更することも考えられます。既にお付き合いがあるので、こちらの事情をある程度理解していただけているのであれば、協力していただきましょう。
回線は毎日の仕事のしやすさに関わってくるので、腰を据えて検討し契約してください。
⑤工事期間の確認
新規開通工事にかかる期間については、引っ越しシーズンなどの繁忙期になると回線工事が混み合ってしまうため、時間がかかる場合があります。
固定電話やインターネットは、業務を行う上でとても重要なものなので、工事が遅れてしまうと業務にも大きな影響が出てしまいます。最短でも2~3週間程度、1ヶ月以上かかってしまうということもありますので、回線工事が必要な場合には、できるだけ早く工事の依頼をすることが大切です。
⑥動作確認
電話やインターネットは、設置すればすぐに使えるというものではありません。設定などが必要になるケースがほとんどですので、回線工事を行った場合には、しっかりと正しく接続されているか、動作が正常か、動作確認チェックをしておきましょう。
回線工事のポイントと注意点
回線工事のポイントは、早めに工事の手配をすることです。理由は、契約から工事に至るまでに時間がかかる場合が多いから。
また、オーナーや管理業者によっては、指定業者がいるという場合があります。特にビルの場合には、ビル全体で電話回線やインターネット回線を引いているということもあります。その場合には、指定業者が工事や保守点検を任せられている可能性がありますので、指定業者がいるかどうかを事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ
居抜きオフィス入居時の回線工事のポイントと注意点についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
居抜きオフィスに入居する際の回線工事は、工事が必要な場合と、工事が不要で簡単な手続きだけで済むという場合など、それぞれの状況によって異なります。専門業者を交えて自社に合った工事の進め方を確認しながら、より良い新オフィスでの事業スタートを切りましょう!